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【岡山天音さんインタビュー】「年下の友達がいる50代になりたい」

【岡山天音さんインタビュー】「年下の友達がいる50代になりたい」

「やったことのないことに惹かれる」。そう話す岡山天音さんが次に挑むのは、身体表現と音楽、そして言葉で物語を届ける舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』。新しい表現と向き合う今の心境をうかがいました。

スタジオを借りて、ひとりで練習しています

15歳で俳優として歩み始めてから、繊細な表現と自然体の存在感で、見る人を惹きつけてきた岡山天音さん。最近も、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、不器用で愛すべき戯作者・恋川春町を演じ、その人間味あふれる姿が心に残りました。キャリアのなかで岡山さんが大切にしてきたのは、新しいことに挑戦し続けること。

「やったことがないことに、とにかく魅力を感じるんです。自分がやったことを反復してしまう瞬間もあるけど、それでも極力新しい場所に行きたいし、新しいものを提示したい。僕はごはん屋さんに行っても、食べたことのないメニューを選びたいタイプなんです」

そんな岡山さんが、「どのタイミングで声がかかっても惹かれていたと思う」と話すのが、20251126日に開幕する舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』。「TRAIN」をモチーフに、不思議な音色を奏でる蒸気機関車「ムジカ」と個性豊かな乗客が繰り広げる冒険譚です。東京2020パラリンピック開会式で“片翼の小さな飛行機”を演じた和合由依さん、ミュージシャンの坂本美雨さん、デフパフォーマーのKAZUKIさん、人気タレントのはるな愛さん……と、多彩なキャストのなかで岡山さんが演じるのは、「ムジカ」に乗って旅をする「詩人レン」。オファー時に提示されたのは、東京2020パラリンピック開会式で演出とチーフ振付を手がけ、今作でも振付と演出を担う森山開次さんが描いた、蒸気機関車の絵だったそう。

「イメージ画という抽象的なものから創作が始まっていくって、なかなかないことだと思うので、すごく新鮮です。開次さんとご一緒できる機会もそうそうないでしょうし、きっとこれまで触れたことのない世界に触れられて、新しい出会いもあるだろうと考えました」

本作は台詞のやりとりではなく、ダンスや身体表現、そしてレンが読む詩によって物語が展開していきます。 

「稽古中に自分の動きを映像で撮って確認しているんですけど、まだまだ自分が思っているようには動けていなくて。今までそんなことしたことがなかったんですが、ひとりでスタジオを借りて練習しています。ダンスの練習というよりも、その場で走ったり、暴れたり(笑)。通りがかった人が窓越しに見たら、『この人何やってんだろう?』って思われそう。このまま続けて、早く楽しめるところまで到達したいですね」

知らない場所、知らないこと、すべてがインプットになる

稽古を重ね、自身の体と向き合う時間が増えている今。その変化は、映像の仕事にもつながっていくのでしょうか。

「今は具体的にはわからないけど、きっと反映されるとは思います。以前、ある人に『下半身のことができないと、つまらない俳優になっちゃう。だから舞台をやった方がいいよ』と言われたんですよ。重心のことを言っているのか、全身を使って表現しろということなのか……。意図はよくわからなかったけど、心には残っていて。残ってるってことは、きっとその通りだとどこかで感じていたからだと思うんです。だから、今回のように体を強く使った作品に取り組むことで、ほかの現場に立ったときにもその経験がにじんでくるんじゃないかという予感がありますね」

現場では常にアウトプットが求められます。では、新しい表現の引き出しは、どのように培われるのでしょうか。

「作品に入っているときはアウトプットばかりで枯渇していくので、むしろ芝居以外のものに触れたときに、『次はこれを芝居に持ち込んでみたい』と思います。知らない場所、知らないこと、すべてがインプットになる仕事ですから。映画やマンガ、ライブに行くこともそう。とくに生身の体をさらすライブは、ある意味、舞台と近い気がするんですよね。ライブに行くと、その人のエネルギーにあてられちゃって。だからミュージシャンやアーティストの人には憧れとコンプレックスみたいなもの、両方がありますね」

30代になったばかりの岡山さんですが、いずれ、『大人のおしゃれ手帖』の読者世代になったときの理想像を聞くと、こんな答えが返ってきました。

「50代になったときに、年下の友達がいたらいいですね。僕、年下の人に教えてもらうことが多くて。みんな僕が知らないこともよく知っているし、『何それ⁉』みたいなお芝居をする人が結構いて。一緒にお芝居していておもしろかったり、人としても興味を惹かれる人が多いんです。この仕事は世の中の空気を映し出す存在でもあると思うので、今、時代の先端がどこにあるのかきちんとキャッチしたい。そういう力も、クリエイティブな仕事をやる上では必要だと思います」

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