ドバイ発、中東唯一のビーントゥーバーチョコレート「ミルザム」
クリエイティブな人々が集まる、ドバイの「アルサーカル・アベニュー」で2016年に誕生。かつて倉庫街だったアートギャラリーやデザインショップ、カフェが立ち並ぶ洗練されたエリア、Al Quozにあるのが「Mirzam Chocolate Makers(ミルザム )」です。中東で唯一、カカオ豆からチョコレートまでを自社で手がけるビーントゥーバーチョコレートブランドとして知られ、観光客はもちろん、地元の人々からも支持を集めています。

大きなドアをあけてお店に入ると驚くはず。天井が高い広々とした空間が広がり、洗練されたカフェスペースが迎えてくれます。
ガラス越しにチョコレート工房が併設され、カカオ豆の焙煎(ばいせん)やメランジャーによる撹拌(かくはん)作業など、普段は目にする機会の少ない製造工程を眺められます。開放感あふれる空間に、ショッピングスペースがあり、心地よいチョコレートの香りに包まれ、多くの人が思い思いにくつろぎの時間を過ごしています。

ミルザムは、ベトナム、インドネシア、マダガスカル、パプアニューギニア、インド、タンザニア、ウガンダといった多くの産地で収穫されたカカオ豆を使っています。数百年前、中東の貿易商がスパイスを求めて航海した海岸沿いのスパイス・ルート(香辛料の交易路)をたどるイメージをもとに、カカオ豆を選んでいるそうです。

シングルオリジン(単一産地)のチョコレートはもちろんおいしいのですが、私のおすすめは「62% Dark Chocolate with Dates & Fennel」。UAEで育ったデーツに、挽(ひ)きたてのフェンネルを合わせたペーストがごく薄いチョコレートに詰まり、その繊細な作りと味には驚かされました。未精製きび糖やデーツシロップが生み出す自然な甘みも心地よいです。 UAE産デーツのチョコレートでコーティングも素晴らしいです。私はカフェでカカオとローズが香るホットチョコレートをいただき、リラックスできました。ブランド名の「Mirzam(ミルザム)」は夜空に輝く星の名。夏の始まりに姿を現し、デーツを実らせる温かな風の到来を告げます。ドバイの歴史や物語を大切にしたチョコレートは、どれも美しく、豊かな風味です。
公式サイト:https://mirzam.com/
ヘルシー志向のチョコレートブランド「CO Chocolat」

続いて紹介するのは「CO Chocolat(コ ショコラ)」。ドバイの中心部から30分ほど車を走らせると、砂漠のすぐそばに小さなオアシスのようなチョコレートショップが現れます。店を営むのは、フィリピン出身の姉妹、イマンさんとルーチ・スグイタンさん。お母様が糖尿病を患ったことをきっかけに、「安心して楽しめる、体にやさしくておいしいチョコレートを届けたい」という思いから生まれたブランドです。

カカオ豆はすべて、フィリピン・ミンダナオ島のカカオ農園から直接仕入れています。故郷フィリピンの、カカオ農家の厳しい生活や現状を知ったふたりは現地を訪れ、多くの人の協力を得ながら、支援の仕組みを整えました。今はフィリピンからカカオニブを輸入し、ドバイの工房でチョコレートを作っています。お店に併設された工房からは、チョコレートが作り出される様子を見られます。

人気商品の「That Skinny」は60%カカオに低脂肪のナッツを組み合わせたチョコレートです。個性的なフレーバーがいくつもそろっていますのでわからないことは、気軽にスタッフに質問しましょう。
「チョコレートはとてもおいしくて、どうしても食べたくなる。でも食べ過ぎると健康を害してしまうことがある──。そんな問題の答えとなるチョコレートを私たちは作っています」とイマンさんが話してくれました。チョコレートを作るのは、メートル・ショコラティエのルーチさん。白砂糖は使わず、ココナツシュガーやデーツなど自然由来の甘味料が使われます。動物性ミルクを使わないヴィーガン仕様で、GI値を低く抑えています。

チョコレートバーだけでなく、チョコレートを使った焼き菓子やスイーツも魅力的。私はドバイチョコレートをモチーフにしたカダイフとピスタチオを使ったチョコレートクッキー「Kunefe Pistachio Mindful Cookies」がとても気に入りました。風味がよくソフトさとカリカリとした食感が楽しいのです。店内のお菓子を、カフェでカジュアルにホットチョコレートとともに味わうのもおすすめです。
公式サイト:https://cochocolat.com/
