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「アイスクリームの売上」と「水難事故の発生率」に相関関係!?…統計データの読み解きに不可欠な「洞察力」とは?【経済評論家が解説】

「アイスクリームの売上」と「水難事故の発生率」に相関関係!?…統計データの読み解きに不可欠な「洞察力」とは?【経済評論家が解説】

株価が景気の先行指標といわれる理由

株価が上がるとしばらくして景気がよくなる、といわれています。しかし、長い間景気の予想屋をやっていた筆者としては、「株価が上がることが景気がよくなる原因だ」とは考えにくいのです。

そうだとすれば、「人々が景気回復を予想すると人々が株を買うので株価が上がる、そのあとで予想が当たって景気が良くなる」ということなのでしょう。順番としては、株価が景気を押し上げたように見えるけれど、実際には景気が親で株価が子だ、ということですね。「親より先に子が生まれる」ということが因果関係の世界では起こり得るのです。

「病院が少ない街の人は長生き」

「病院が多い街は入院が多く、病院が少ない街の人は長生きする」ということがあるとします。考えられる因果関係は何でしょうか?

「病院が少ないと、入院できない患者が多いので、病院が多い街ほど入院が多い」と考える人がいるかもしれませんが、それはおそらく違います。そういうことが起きているならば、病院が少ない街の人が長生きをすることが説明できないからです。

「病院が多い街の医師は、ベッドに空きが出ないように、入院が必要ない軽症の患者も入院させる」ということは、理屈としては考えられます。「供給が需要を作り出す」という言葉は、どこかで聞いたような気がしますが(笑)。もっとも、そのような不埒な医師は多くないでしょうから、これも重要な要因ではなさそうです。

おそらく「病院が少ない街から病弱な人が出て行ってしまい、健康な人だけが残っているから住民が長生きなのだ」ということなのでしょう。そうだとすれば、「病院の削減は財政再建と住民の長生きの一石二鳥だ」などということはなさそうです。

では「日本はがんで亡くなる人が多い。がんの治療が遅れているからだ」というのはどうでしょう? 筆者は医療には詳しくありませんが、日本のがん治療が悪いのではなく、日本の医療が優れていてがん以外の病気がほとんど治ってしまうから…ということもありそうです。皆ががんになるまで生きているから、がんで死ぬ人が多い、というわけです。

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