ロエベ
ジョナサン・アンダーソンがディオールに移り、新たなクリエイティブディレクターに就任した元「プロエンザ・スクーラー」のジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスのふたりのデビューとなりました。

会場の入り口のロゴの色が鮮やかになり、新たなスタートを感じさせます。
コレクションノートの書き出しには、「ロエベに参加することは、飽くなきクラフトへの忠誠とスペインというアイデンティティから成り立つ180年の歴史のコードを受け継ぐことを意味します。我々の仕事は、このスピリットを前進させ、自分たちならではの視点で解釈することです。クラフトは今、どのように再定義できるだろうか? 人の手による表現を、手仕事の痕跡すら消えてしまうほどに押し進められるだろうか? 歴史の重みから解き放たれつつも、歴史に敬意を示した、2025年的なスペインらしさとは何なのか?」とありました。



ショーでは原色のような明るさが特徴的です。ドレスのほか、ポロシャツやアノラック、パーカなど、アメリカのスポーツウエアの要素が盛り込まれています。モデルが速足で通り過ぎていくので、ロエベのクラフト的な要素を探すのにはちょっと一苦労。
後日行われたre-seeでは、ショーを見ているだけではわからないすごさを発見しました。「魂は細部に宿る」といいますが、まさしくそう。「革でこんな表現ができるんだ」という驚きも。デザイナーが代われば、表現方法も変わります。が、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスがメゾンのどんな可能性を引き出すのか、楽しみです。
イッセイミヤケ
会場はポンピドゥー・センター。今回は「衣服は意識を持つのだろうか」という問いから服作りが始まったのだそう。



© ISSEY MIYAKE INC.
衣服がもし意識を持って生き物のように仕立てられた服の形をやぶっていくとしたらということで出てきたTシャツやポロシャツは生き物の脱皮の途中のようにも見えます。
また、表裏のどちらも着ることができる服は、単なるリバーシブルということではない、新たな着こなしを提案。私たちが抱いている服への既成概念を取り払い、新しい服のありかたを模索するというものでした。
今回、最も驚いたのはモデルたちがハイヒールをはいていたことでした。イッセイミヤケといえば、社会の中で女性たちに向けられた「女らしさ」という呪縛から解き放たれるような自由さがあり、靴もその一部として高いヒールは見たことがありませんでした。私の記憶の中ではこれまで私が見たショーではハイヒールを見た記憶がなかったゆえ、「あれっ」と思ったのでした。
