3. 保健師の勤務先と仕事内容
保健師の勤務先は市区町村や保健所といった行政機関が7割を占めます。そのほか、医療機関や一般企業で働く保健師もいます。

行政機関(行政保健師)
市区町村や都道府県、またはそれらの自治体が管轄する保健センターや保健所で働く保健師を行政保健師と呼びます。
行政保健師は、乳幼児から高齢者まであらゆる世代の人々を対象に地域住民の健康づくりを支援しています。
〈行政保健師の活動領域〉
母子保健/精神保健/感染症対策/生活習慣病対策/難病対策/障害者支援/高齢者介護/医療安全/災害時対策/地域包括ケア推進/職員の教育・研修/職員の健康管理 など
市区町村や都道府県の本庁では、地域全体の企画調整や施策立案を担当します。さらに保健センターや保健所では次のような役割を担っています。
〈保健センター〉
保健センターは市区町村によって設置された施設で、母子保健や老人保健を中心に地域住民の健康づくりを支援します。具体的には母子健康手帳の交付や両親学級の開催、各種健診(乳幼児健診、3歳児健診、定期健診、がん検診など)の実施、健康に関する相談支援、訪問支援などをおこなっています。
保健センターは法律で設置が義務付けられた施設ではないため、保健センターを設置せず、保健所がその役割を兼ねる場合もあります。また、自治体によって保健事務所、保健相談所、健康サポートセンターなどさまざまな名前が付けられています。
〈保健所〉
保健所は都道府県や特別区、保健所政令市*によって設置された施設で、より広域的で専門性の高い業務をおこないます。主に地域の健康に関する現状と課題について調査を実施し、その結果を基に事業を立案・推進しています。そのほか、難病患者や障がい者の療養支援、感染症や依存症に関する啓発や相談支援、市区町村の保健師に対する情報提供や技術支援、人材育成などをおこなっています。
*地域保健法で定められた保健所を設置できる市(政令指定都市、中核市、そのほか政令で定める市)のこと。保健所設置市ともいう。
医療機関(病院保健師)
病院や診療所で働く保健師を病院保健師と呼びます。
病院保健師は、主に保健指導室(健診センター)や地域連携室に所属し、健診受診者の保健指導や入院患者の退院調整をおこないます。
〈保健指導室(健診センター)〉
保健指導室(健診センター)では各種健診や人間ドックを担当します。検査結果に応じて保健指導を実施し、病気になりにくい健康的な生活習慣を身につけられるようサポートします。そのほか広く健康相談にも応じています。
〈地域連携室〉
地域連携室では退院調整を担当します。退院を控えた患者さんやその家族の相談に応じ、退院後も安心して療養生活を送れるよう、行政やケアマネジャー、かかりつけ医、訪問看護ステーションと連携して支援計画を立てます。
そのほか、訪問看護ステーションで管理者や看護職員として在宅での療養生活を支えることもあります。
一般企業(産業保健師)
一般企業や事業所で働く保健師を産業保健師と呼びます。
産業保健師は、産業医や衛生管理者と連携して従業員の健康管理をおこないます。定期健診のデータ管理や健診後のフォロー、メタボリックシンドロームや生活習慣病、インフルエンザの予防など健康に関する情報発信、そのほか従業員からの健康に関するさまざまな相談に応じることが主な業務となります。
近年は職場でのハラスメントや過労によるうつ病が社会問題となっていることから、メンタルヘルスに対するケアも重視されています。定期的なストレスチェックの実施やそのアフターフォロー、心療内科の紹介、休職・復職時の面談など必要なサポートをおこないます。
学校(学校保健師)
学校で働く保健師を学校保健師と呼びます。
学校保健師は、保健室に常駐して生徒や教職員の健康管理をおこないます。体調不良やけがに対する応急処置や定期健診の計画と推進が主な業務となります。そのほかにも、保健便りや講習会を通じて生徒たちが自分で自分の健康を守れるように啓蒙したり(保健教育)、学校や家庭での心身の悩みに寄り添ったり(保健相談)するのも大切な業務です。
ただし、学校保健師として働けるのは大学や専門学校、私立の小学校・中学校・高校のみで、公立の小学校・中学校・高校の保健室で働くには養護教諭の免許状が必要です。
保健師資格を持っている場合、所定の単位*を修得することで2種免許状を、養護教諭の養成施設に半年以上通うことで1種免許状を得られます。ただし、申請時点で保健師免許を取得してから10年以上経過している場合、30時間以上の免許状更新講習の修了が必須となります。
*日本国憲法2単位、体育2単位、外国語コミュニケーション2単位、情報機器の操作2単位の合計8単位地域包括支援センター
地域包括ケアの中核を担う地域包括支援センターでも保健師が活躍しています。
地域包括ケアとは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けるために、自宅を中心に医療・介護・介護予防・生活支援に関するサービスが一体的に提供される体制を指します。
その拠点として人口2〜3万人に対して一ヶ所を目安に設置されているのが地域包括支援センターで、市区町村やその委託を受けた社会福祉法人などによって全国におよそ7,000ヶ所(ブランチ含む)が整備されています(参考:厚生労働省)。
地域包括支援センターには保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)が常駐し、その地域で暮らしている高齢者やその家族からの相談に応じています。
保健師は保健医療、社会福祉士はソーシャルワーク、主任ケアマネジャーはケアマネジメントの専門家として、それぞれの専門性を活かしながらチームで課題解決に取り組みます。

4. 保健師の働き方
保健師の一日
地域包括支援センターで働く場合を例に取ると、保健師の一日はおおむね次のようになります。

保健師の休日
保健師の仕事は保健指導が中心となりますので、勤務先を問わず(行政、病院、学校、一般企業)カレンダー通り土日祝日が休みの週休2日となることが一般的です。
ただし地域包括支援センターの場合、利用者のニーズに応えるために土曜日も開所する施設が増えています。そのため勤務先の地域包括支援センターによっては、日曜祝日+平日1日の変則週休2日となることがあります。

