安全は誇らしいことなのですが、日本もインバウンドの影響も考慮して安全対策を一段階上げることも必要ではないでしょうか。
今回は、そんなちょっと“ヒヤッ”とした新幹線での出来事を紹介します。

◆レッスンのための移動中に
声楽家の中村さん(仮名・43歳)は、東京と大阪を行き来する多忙な日々を送っているそうです。毎週木曜日には東京駅から新幹線に乗り込み、レッスンのために大阪へ向かうことが習慣になっています。そんな彼が先日体験した出来事は、日常の移動に潜む予想外の恐怖を実感させるものでした。
「その日は特に変わったこともなく、新大阪行きの列車に乗りました。前の席には細身で真面目そうな40代くらいの男性が座っていて、発車直後に『席を倒してもいいですか?』と声をかけてくれたんです。礼儀正しい方だなという印象でしたね」
中村さんは駅の売店で買ったおつまみとビールを楽しみ、少しずつ眠気に包まれていったそうです。静かな移動時間が始まると思っていた矢先、予想外の展開が待ち受けていたと言います。
◆静けさを破った異様な声
「ウトウトしかけたころ、前の席から低い声が聞こえてきました。最初は電話かな?くらいに思ったんです。でも、だんだん声が強くなってきて、内容も『ふざけるな!』とか『やってみろよ!』みたいな、明らかにただ事じゃない言葉だったんです」抑えた口調ながらも、相手を叱責するような強い口調。次第に声量は増し、その男性の周囲に座る乗客は視線を頻繁に向けていたそうです。
「最初は聞き流そうとしたんですが、だんだん暴言が激しくなって、まるでケンカをしているように聞こえました。隣や周囲のお客さんも落ち着かない様子で、私も怖くなってしまったんです」
車内での異様な空気に、眠気は完全に吹き飛び、中村さんはついに行動に出る決意を固めたと言います。

