3. 医療事務の仕事内容
医療事務の仕事には主に次のようなものがあります。
診療所の場合はすべての業務をオールラウンドにこなす必要がある一方、診療科目が複数ある病院の場合は配属先によって担当する業務が異なることがあります。
受付業務
患者さんから診察券や保険証を預かります。初診の場合は診察券を発行し、カルテに患者さんの基本情報を登録します。患者さんが最初に訪れる場所ですので、病院や診療所の“顔”として、気持ちのいい対応が求められます。
外来クラーク業務
各診療科の受付で、問診票の記入依頼、カルテの準備、診察室への案内、検査の案内、次回の診療予約などをおこないます。患者さんに安心して診療を受けてもらえるよう、医師や看護師と連携して業務をおこないます。
病棟クラーク業務
主にナースステーションに常駐し、入退院の手続き、カルテ・食事箋の管理、手術・検査スケジュールの管理、面会者の対応などをおこない、多忙な医師や看護師を事務面からサポートします。
会計業務
カルテの内容から診療費を計算し、患者さんから診療費の一部(原則3割)を受け取ります。診療費について患者さんから質問があれば、回答することもあります。
レセプト業務
会計時に患者さんから受け取るのは診療費の一部のみのため、残りについては保険者(国保、健保等)に請求します。患者さん一人ひとりの1ヶ月分のレセプト(診療報酬明細書)の作成・点検・提出作業のため、月末〜月初にかけては残業が増えることもあります(レセプトの点検は業務の合間に日次・週次でおこなう医療機関もあります)。
4. 医療事務の勤務先
医療事務の勤務先による働き方の違いなどについて解説します。
病院
*病院の法律上の定義は「病床数20床以上の医療機関」だが、この記事では便宜的に複数の診療科のある入院設備を備えた医療機関とする病院の場合、診療科が複数あり一日に訪れる患者さんも多いことから、医療事務の仕事も配属先によって受付、外来、病棟、保険請求などに分かれていることがほとんどです。
任された業務を着実に効率よく捌く能力が求められますので、特定の業務に腰を据えて取り組みたい方や専門性を磨きたい方に向いています。ただし、転職時にこれまで携わってきた業務と応募先の業務にミスマッチがあると、選考上不利になる可能性もあります。
社保完備や産休育休の取得実績があるなど、長く働きやすい環境も魅力で、院内に従業員向けの保育所がある病院もあります。

診療所
*診療所の法律上の定義は「病床数19床以下の医療機関」だが、この記事では便宜的に特定の診療科のある入院設備のない小規模な医療機関とする一方の診療所の場合は、受付、会計、クラーク、レセプト、そのほか電話対応など、経営に欠かせない業務を一手にこなす必要があるため、医療事務の業務を広く身につけたい方に向いているでしょう。
診療所の中でも自由診療の比率の高い美容皮膚科、美容外科、審美歯科、矯正歯科などは基本給が高い傾向にあります。業務内容にカウンセリングが含まれる場合、個人やチーム(部門)で目標を達成するとインセンティブが支払われることが多いため、サービス業や営業の経験を活かせるケースもあります。
このように診療科によって求められる適性は異なりますので、医療とは関係のない意外な経験を活かせるかもしれません。

在宅医療
訪問診療所や訪問看護ステーションなど、在宅医療のニーズが増加しており、そこでも医療事務が活躍しています。
医療事務は訪問に同行し、診療(看護)のサポートをおこないます。具体的には訪問に必要な機材や物品の準備、カルテの入力代行、訪問スケジュールの管理、レセプトの作成など、医療行為以外のあらゆる業務を任されます。移動は車のため、多くの求人で運転免許が必須とされます。
また、ケアマネジャー、看護師、薬剤師、リハビリ職との連携も重要で、利用者やそのご家族と医療・介護チームの架け橋となります。
保険請求については、介護報酬など介護保険に関する知識も必要となります。勤務先で研修がおこなわれている場合もありますが、多くは現場で学ぶことになります。不安な場合は、介護事務の民間資格にチャレンジしてみてもいいでしょう。
こう聞くとハードな印象を持つかもしれませんが、訪問のほとんどが平日の日中(9時〜17時)ですので、ONとOFFのメリハリをつけて働くことができます。
治療院
健康意識や美意識の高まりから、整骨院(接骨院)や鍼灸院、マッサージ院、整体院などの代替医療の治療院も増加しています。
このような治療院には病気やけがの治療(保険診療)*のために通う方もいれば、病気の予防や健康、美容(自由診療)のために通う方もおり、近年は後者に力を入れる院が増えています。そのため、健康や美容に関心のある方や新しいことを柔軟に受け入れられる方に向いているでしょう。
*整体、カイロプラクティックなど、自由診療のみの治療院もある治療院で働く場合も業務内容は診療所と大きくは変わりませんが、夜の20時〜21時まで開いている院が多いため、応募時には自分のライフスタイルに合っているか確認しましょう。

