
1. そもそも「柔道整復」とは何か
柔道整復師がおこなう治療は、柔道整復術と呼ばれますが、そもそも「柔道整復」とは何でしょうか?
柔道整復術の成り立ちは、日本古来の武術に由来しています。日本古来の武術には、「柔術」があります。柔術とは、素手や武器で戦う武術のことです。もともと、柔術には、次に挙げる2つの種類がありました。
1. 殺法(さっぽう)
名前のとおり、戦う相手を殺傷するための柔術です。「殺法」は、時代の流れとともに変化し、現在では、競技で行われる柔道に発展していきました。
2. 活法(かっぽう)
柔術には相手を殺傷する殺法と、もうひとつ「活法」がありました。活法とは、負傷者を蘇生したり、治療したりする柔術として使われていました。現在では、この活法から派生した方法が、整復や固定などといった負傷者への治療法として受け継がれ、「柔道整復術」となったのです。
2. 柔道整復師はどのような仕事をしている?
柔道整復師は、ケガ(骨折・脱臼・打撲・捻挫など)によって、損傷した骨・関節・筋肉・靱帯などに対して、柔道整復術を使い治療をします。柔道整復師がおこなう仕事内容は、次の3つに分けられます。
1. 整復
整復とは、骨折した箇所を元の状態に戻したり、外れた関節を元に戻すための操作をしたりする治療方法です。
2. 固定
固定は、骨折や脱臼、捻挫などをした場合に、三角巾・包帯・テーピングなどを使って、患部を固定する治療方法です。
3. 後療法
後療法は、ケガで損傷した箇所の回復を図るために、電気などの治療機器を使った「物理療法」、運動の指導や筋力トレーニングをおこなう「運動療法」などの治療方法です。
柔道整復師の仕事内容を見たときに「骨折や脱臼の治療も行えるの?」と思われたかもしれませんが、実は柔道整復師も、医師の同意があれば骨折・脱臼の治療をおこなうことができます。なお、骨折・脱臼・打撲・捻挫の施術を受けた場合には医療保険の対象となりますが、単なる肩こりや筋肉疲労などに対する施術は保険適用外となります。

