◆「IQが20違うと、話が通じなくなる」は本当か
以前「IQが20違うと、話が通じなくなる」なんて話を聞いたことがあります。どこから出てきたかわからない出典不明の俗説。おそらくこれを持ち出す人は、「あなたとは話が通じない(くらい、あなたはIQが低い)」と言いたいのでしょう。
ですが、少なくとも私の主観では「話が通じない」と感じたことは、一度もありません。私が計測に用いたIQテスト(WAIS-Ⅳ)では、言語理解やワーキングメモリーなど、細部化された項目に分けられたIQが個別に出されます。
冒頭の130はあくまで総合評価の話であり、私の言語理解とワーキングメモリーの値は両方とも140を上回りました。どちらも言葉の処理や聞こえてきた情報解析の能力や速さ、深さを測定する項目です。
IQ120以上の人が大体人口の上位10%ぐらいだといいますから、もしも本当に「IQが20以上離れると会話が成り立たなくなる」ならば、私はこの世の90%以上の人間と会話できなくなってしまいます。
もちろん、実際にそんなことはありません。少なくとも「10人中9人と会話がかみ合わない」なんて感じるわけもない。
別に、IQが高いとか低いとか、それだけで人生は変わりません。そもそもIQテスト自体「自己理解を助ける指標にするため」の受験が推奨されています。
私も中に入るまでどんな世界が広がっているかとワクワクしていましたが、正直今では「こんなものか」と拍子抜けするほど。
ショーウィンドー越しに憧れを眺める時間こそが至福の時であり、それそのものには、大して意味がないのかもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

