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登録販売者とは?資格の取得方法や試験合格率、仕事内容について解説

登録販売者とは?資格の取得方法や試験合格率、仕事内容について解説

特集 仕事を知る 登録販売者

1. 登録販売者とは?

一般用医薬品の販売を担う専門資格

登録販売者とは、2009年の改正薬事法(現在の医薬品医療機器等法。以下、薬機法)の施行により誕生した一般用医薬品(市販薬)の販売に必要な専門資格です。

登録販売者は一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品を販売することができます。一般用医薬品の中でとくにリスクの高い第1類医薬品については薬剤師にしか販売が認められていませんが、該当する品目は全体の1%程度に留まります。つまり、登録販売者は流通している市販薬のうち、かなり多くの品目を取り扱うことができます。

OTC薬品の分類
*医師の処方箋がなくても薬局や薬店などで薬の専門家の助言を参考に、自分で選択・購入できる医薬品を一般的にOTC医薬品と呼び、要指導医薬品・一般用医薬品・薬局製造販売医薬品(通称:薬局製剤)がこれに該当する。市販薬大衆薬と呼ばれることもあるが、国際的に医薬品の販売はカウンター越し(Over The Counter)におこなわれていることから、この呼称が使われるようになった。

また、この資格・制度の創設よって薬剤師のいない店舗でも登録販売者がいれば医薬品を販売できるようになったことから、スーパーやホームセンター、家電量販店などの小売店が新たに医薬品店舗販売業の免許を取得し、医薬品の取り扱うことが増えました。

薬剤師が慢性的に不足していることからも登録販売者に対する需要は多く、制度開始から2024年度までに延べ39.8万人以上が登録販売者試験に合格しています(参考:厚生労働省)。

登録販売者と薬剤師の違い

薬剤師が薬の調剤から販売まで幅広く携わる医薬品の専門家なのに対して、登録販売者はあくまで医薬品の“販売”に関する専門資格です。

そのため、資格取得の要件販売できる医薬品が異なります。

薬剤師になるには薬学部の6年制課程を卒業する必要がありますが、登録販売者になるのに学歴(専門教育を受けた経験)は問われません

薬剤師がすべての一般用医薬品を販売できるのに対し、登録販売者が販売できるのは一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品に限られます。

 

登録販売者

薬剤師

根拠法

薬機法

薬剤師法

資格の位置付け

都道府県知事の登録

厚生労働大臣の免許

受験資格

とくになし

薬学部(6年制)卒

主な業務


医薬品の販売

医薬品の調剤
医薬品の販売

販売できる
一般用医薬品


第2類医薬品
第3類医薬品

第1類医薬品
第2類医薬品
第3類医薬品

薬剤師について詳しくはこちらの記事でも解説しています。

>薬剤師とは?

2. 登録販売者になるには?

登録販売者試験に合格し、販売従事登録をおこなう必要がある

登録販売者になるには

登録販売者として働くには、登録販売者試験に合格し、販売従事登録を受ける必要があります

登録販売者の販売従事登録について

  • 勤務する店舗がある都道府県で登録申請する
  • 試験を受けた都道府県以外でも、登録申請することができる
  • 複数の都道府県で登録することはできない
  • 登録を受けた都道府県以外でも、登録販売者として働くことができる

登録販売者試験を受験するのに学歴(専門教育)や職歴(実務経験)は問われませんが、試験に合格し販売従事登録後すぐに単独で売り場に立つことはできません

最初は研修中の登録販売者として、必ずほかの登録販売者や薬剤師の管理・指導を受けながら働きます。その間は一人でシフトに入ることができず、名札にも「研修中」と明示しなくてはなりません。

一定期間店舗で医薬品販売の経験を積むことで、初めて正規の登録販売者として独り立ちすることができます。この正規の登録販売者を法的には「店舗管理者の要件を満たす登録販売者」と呼び、各店舗に配置が義務付けられている店舗管理者になることができます。

登録販売者の店舗管理者要件について

次のいずれかに該当すること

  1. 過去5年間のうち、医薬品の販売スタッフとしての従事期間が通算2年以上ある
  2. 過去5年間のうち、医薬品の販売スタッフとしての従事期間が通算1年以上あり、所定の研修を修了している
  3. 医薬品の販売スタッフとしての従事期間が通算1年以上あり、過去に店舗管理者または区域管理者の経験がある

また、登録販売者は毎年外部研修を受け、研鑽を積むことが求められています

登録販売者の外部研修について

  • 事業者は、毎年12時間以上の外部研修を受講させる
  • 研修機関は、研修修了後に修了証等を交付する
  • 研修機関は、次をカリキュラムに含める
    1. 医薬品に共通する特性と基本的な知識
    2. 人体の働きと医薬品
    3. 主な一般用医薬品とその作用
    4. 薬事に関する法規と制度
    5. 一般用医薬品の適正使用と安全対策
    6. リスク区分等の変更があった医薬品
    7. その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

登録販売者試験の概要

都道府県によって異なりますが、登録販売者試験は年に一回、8月下旬から12月上旬にかけて実施されています。

登録販売者試験は次の5つの分野から合計120問出題されます。

  1. 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
  2. 人体の働きと医薬品(20問)
  3. 主な医薬品とその作用(40問)
  4. 薬事関連法規・制度(20問)
  5. 医薬品の適正使用・安全対策(20問)

登録販売者試験の合格基準は次の2つです(両方を満たす必要があります)。

  1. 全体の正答率が70%以上
  2. 各分野の正答率が35%以上、または、40%以上(都道府県によって異なる)

そのほか、登録販売者試験に関する最新情報は各都道府県の公式ページからご確認ください。

登録販売者試験の合格率の推移(全国平均)

過去5年間、登録販売者試験の合格率(全国平均)は40%台で推移しています。

登録販売者の合格率(全国平均)は
40%台で推移
参考:厚生労働省|これまでの登録販売者試験実施状況等についてより作成

登録販売者試験の合格率ランキング(都道府県別、2023年度)

2023年に実施された登録販売者試験の都道府県別の合格率は次のようになりました。

順位都道府県受験者数合格者数合格率
1位群馬県1,578人871人55.2%
2位大分県661人363人54.9%
3位奈良県1,645人891人54.2%
4位茨城県1,555人835人53.7%
5位福岡県2,719人1,451人53.4%
6位静岡県1,748人922人52.7%
7位北海道1,595人817人51.2%
8位新潟県789人401人50.8%
9位長野県781人396人50.7%
10位熊本県652人318人48.8%
11位栃木県1,008人484人48.0%
12位神奈川県2,881人1,369人47.5%
12位愛知県2,852人1,355人47.5%
14位長崎県436人205人47.0%
15位宮崎県385人177人46.0%
16位佐賀県725人333人45.9%
17位埼玉県2,258人1,024人45.3%
18位岐阜県864人390人45.1%
18位鹿児島県696人314人45.1%
20位山梨県327人147人45.0%
21位宮城県1,030人460人44.7%
22位岩手県582人258人44.3%
23位東京都3,729人1,639人44.0%
24位石川県717人312人43.5%
25位青森県527人228人43.3%
26位千葉県2,251人973人43.2%
26位三重県702人303人43.2%
28位山形県439人184人41.9%
29位富山県538人224人41.6%
30位福島県1,177人472人40.1%
31位秋田県353人140人39.7%
32位沖縄県486人192人39.5%
33位関西広域連合*8,885人3,057人34.4%
34位福井県394人133人33.8%
35位広島県975人299人30.7%
36位山口県620人184人29.7%
37位島根県227人64人28.2%
38位岡山県932人262人28.1%
39位鳥取県240人63人26.3%
40位愛媛県526人133人25.3%
41位香川県425人106人24.9%
42位高知県304人65人21.4%
*参考:これまでの登録販売者試験実施状況等について
*関西広域連合は滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、徳島県の6府県の合計

合格率が最も高い県(55.2%)と低い県(21.4%)では2倍以上の差があるほか、同じ都道府県でも年によって合格率にバラツキが見られます。

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