元部下と再会
「えっ、Aさん!? ご無沙汰しております。でも、なんでこんなところに……」
Aさんはある日、放課後子ども教室に通う小学校1年生の少女の父親から声をかけられました。
その父親とは、Aさんが現役時代に一緒に働いたことのある元部下(Cさん)です。
「おぉCくんか! 久しぶりだね。そうか〇〇ちゃんは、Cくんの娘さんだったんだ。君たち夫婦は〇〇ちゃんを可愛がっているんだね。よく君や奥さんのことを話してくれるよ」と、現役時代と同様に、穏やかな笑顔で話します。
世間話もそこそこに、CさんはAさんに率直な疑問をぶつけました。
Cさん「でも、元警察官のAさんがなぜこのような場所で働いているのですか?」
Aさん「定年後は子どもにかかわる仕事がしたいとずっと考えていたんだ。私たち夫婦には子どもがいないからね。わが子じゃなくても、未来ある子どもたちの役に立ちたいと思って」
Cさん「でも……」
Aさん「もう3年くらい経つけど、週に3回か4回、夏休み期間も同じようなペースで働かせてもらっているんだ。いやあ、子どもの成長は早いね! 子育ては大変だろうけれど、一緒に過ごせる君たちがうらやましいよ」
Cさんは、自分や後輩たちの近況をしばらく話して、娘と帰って行きました。
Aさんが“お金を気にせず”好きを仕事にできたワケ
実はAさん夫婦、退職前に、老後のライフプランをファイナンシャルプランナーに相談していました。
夫婦はすでに、Aさんの弟を後見人と決め、本人の承諾も得ています。また、夫婦のどちらかが亡くなるまでは自宅で過ごし、その後は老人ホームなどの施設に入居する計画を立てました。
この計画を実現するため貯蓄に励んだ結果、Aさんが60歳になった時点で、退職金約2,000万円(※)を含めて約5,000万円の資産を形成していたのです。
※総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、都道府県別警察職の定年退職者等平均支給額の全国平均は、2,270万2,000円。
この5,000万円のうち、1,000万円はAさんが年金を受け取るまでの生活費として、残りの4,000万円は、旅行や自宅の修繕費、施設の入居費に充てる計画とのこと。
筆者も試算したところ、質実剛健な夫婦の計画通りに老後の生活が送れそうです。
