
1. 精神保健福祉士とは?
心の病や悩みを抱えた人の生活を、さまざまな領域からサポートする
精神保健福祉士は精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)とも呼ばれ、心の病や悩みを抱えた人(クライエント:相談者)の日常生活や社会復帰を援助する専門職です。
精神保健福祉士が誕生する以前から、精神科医療機関を中心に精神科ソーシャルワーカーと呼ばれる専門家が存在していました。その後、1997年の精神保健福祉士法の施行により、国家資格として精神保健福祉士が新設されました。
主な役割は、クライエントの障害特性や人となり、周囲の環境をふまえて課題を明らかにし(アセスメント)、課題を解決するための情報提供や助言、精神障害者を支援する制度や施設といった社会資源との連携、適切な訓練をおこなうことです。
過去5年間で、精神保健福祉士の登録者数は約4,000人のペースで増え続け、2025年1月時点での登録者数は10.8万人程度となっています(社会福祉振興・試験センター)。
精神保健福祉士と社会福祉士の違い
どちらも国家資格であり名称が似ていますが、支援対象が異なります。精神保健福祉士の支援対象は心の病や悩みを抱えた人です。
一方で社会福祉士の支援対象は幅広く、精神障害以外にも身体障害や知的障害のある人、高齢者や生活困窮者、虐待を受けている人など、生活に困っているあらゆる人を対象としています。
精神保健福祉士も社会福祉士も名称独占資格
国家資格には「業務独占資格」と「名称独占資格」があります。
例えば医師は業務独占資格にあたり、診察をはじめケガや病気を治療するための手術といった医行為(医療行為)は、医師でなければおこなうことができません。これらの業務を医師免許を持たない人がおこなうと医療法違反となります。
一方で精神保健福祉士は名称独占資格です。国家試験に合格し、登録を受けなければ精神保健福祉士を名乗ることはできません。しかし精神保健福祉士の資格を持っていない人でも、精神障害者を対象とした相談支援の仕事に就くことは可能です。
とはいえ、精神障害者を支援する職場では精神保健福祉士資格が応募要件となっていることが多いため、資格を持っていると職場の選択肢が広がります。
2. 精神保健福祉士になるには?
精神保健福祉士資格が必要
精神保健福祉士として働くには、国家試験に合格したのち、社会福祉振興・試験センターへの資格登録が必要です。
国家試験の受験には、厚生労働大臣が指定する基礎科目または指定科目の履修に加え、必要に応じて相談援助の実務経験や養成施設の修了が求められます。
保健福祉系大学ルート

指定科目
- 人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム のうち1科目
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 社会保障
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 福祉行財政と福祉計画
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤(基礎)
- 精神保健福祉相談援助の基盤(専門)
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス
- 精神障害者の生活支援システム
- 精神保健福祉援助演習(基礎)
- 精神保健福祉援助演習(専門)
- 精神保健福祉援助実習指導
- 精神保健福祉援助実習
短期養成施設ルート

基礎科目
- 人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム のうち1科目
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 社会保障
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 福祉行財政と福祉計画
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 精神保健福祉相談援助の基盤(基礎)
- 精神保健福祉援助演習(基礎)
一般養成施設ルート

精神保健福祉士国家試験の概要
精神保健福祉士国家試験は年に一回、2月上旬に実施されます。
- 9月上旬〜10月上旬:願書等提出
- 2月上旬:試験日
- 3月上旬:合格発表
第27回(2024年度)精神保健福祉士国家試験からは、9科目から1問1点で全132問出題されます。社会福祉士資格の登録者(登録申請中を含む)の場合は、受験申し込み時に必要書類を提出することで一部の科目が免除され、1問1点で全48問の出題となります。
精神保健福祉士 国家試験科目(第27回より)
〈専門科目〉
- 精神医学と精神医療
- 現代の精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉の原理
- ソーシャルワークの理論と方法(専門)
- 精神障害とリハビリテーション論
- 精神保健福祉制度論
〈共通科目〉
- 医学概論
- 心理学と心理的支援
- 社会学と社会システム
- 社会福祉の原理と政策
- 社会保障
- 権利擁護を支える法制度
- 地域福祉と包括的支援体制
- 障害者福祉
- 刑事司法と福祉
- ソーシャルワークの基盤と専門職
- ソーシャルワークの理論と方法
- 社会福祉調査の基礎
*共通科目:社会福祉士の登録者(登録申請中を含む)が免除される科目
合格基準は総得点の60%程度(問題の難易度で補正)かつ、すべての科目群で得点があることです。

参照:精神保健福祉士国家試験の合格基準及び正答について(第23回、第24回、第25回、第26回、第27回)
そのほか、精神保健福祉士試験に関する最新情報は社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」のページからご確認ください。
精神保健福祉士試験の合格率の推移
精神保健福祉士国家試験の合格率は、長らく60%前後で推移してきましたが、第25回試験以降は第2回(2000年)以来となる70%台を記録しています。

参照:社会福祉振興・試験センター|第27回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します
社会福祉士の合格率が30〜60%程度で推移しているのと比べると、精神保健福祉士の合格率は高いといえます。これは精神保健福祉士と比べて社会福祉士の出題範囲が広いことや、社会福祉士資格を持つ人が、共通科目の多い精神保健福祉士を受験する傾向にあるためだと考えられます。


