
1.サービス管理責任者(サビ管)の役割とは
サービス管理責任者の主な役割は3つです。ここではそれぞれの役割についてご紹介していきます。
1-1.支援プロセスの管理
障がいを持った方が障がい者向けサービスを利用する前に必要となるのが、サービス管理責任者が作成する「個別支援計画」です。この計画には「利用者がどのような障がいを持っているのか」「利用者が今後どのようになりたいのか」という情報に基づいた目標設定などが書かれています。
サービス管理責任者は個別支援計画を作成するために、利用者やご家族と面談し、現在の状況や相談の背景などを把握して目標を設定する「アセスメント」をおこないます。
そこで得られた情報をもとに個別支援計画の原案を作成。支援を提供する担当者らによる会議をおこない、計画を修正していきます。その後利用者やご家族と面談し、個別支援計画の内容の説明をおこないます。了承が得られたあとは、計画の進捗を調査(モニタリング)して、必要に応じて計画の見直しをおこないます。
1-2.従業員への指導や助言
サービスを管理する立場として、チームのマネジメントも重要な役割の1つです。また、従業員のスキルアップを目的とした研修の企画・実施もおこないます。
1-3.関係者や関係機関との連携
障害福祉サービス事業所や医療機関など、他分野との協働による包括的なサポート体制の構築も必要です。関係機関と連携を取り、利用者に合ったサービスが提供されるように調整をおこないます。
上記以外に、利用者満足度調査の実施なども役割として挙げられます。
1-4.他職種との兼務について
障害福祉サービス事業所には、サービス管理責任者のほか、管理者、生活支援員をはじめとした直接処遇職員がいます。これら職員の業務とサービス管理責任者の業務の兼務ができるかどうかは、日中活動系・グループホーム(共同生活援助)・多機能型事業所によってそれぞれ異なります。
【日中活動系】
管理者との兼務:可能(1日の従事時間の半分以上は管理業務に従事)
直接処遇職員との兼務:不可(ただし手伝いは可能)
日中活動系の療養介護、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A・B型)事業所では、サービス管理責任者は常勤かつ専任となっていなくてはいけない、となっていますが、管理者との兼務は可能となっています。
直接処遇職員は、業務の手伝いであれば参加することができますが、直接処遇職員の常勤職員の数には含まれません。ただし、事業所の利用定員が20名未満の場合は常勤としての換算も可能となっていますので、兼務する際は事業所の利用定員数を確認しておくと良いでしょう。また非常勤のサービス管理責任者である場合も直接処遇職員との兼務が可能となっています。
【グループホーム(共同生活援助)】
管理者との兼務:可能
直接処G職員との兼務:可能
グループホームでのサービス管理責任者は、専従である必要がありますが、適切な業務遂行に必要な勤務時間を確保できれば、他の職種を兼務することができます。また時間を確保できれば管理者・サービス管理責任者・直接処遇職員の3つを兼務することも可能です。
【多機能型事業所】
管理者との兼務:可能(利用者数60名以下の場合)
直接処遇職員との兼務:可能(重度の障がい児等の対応をする利用定員20名未満の多機能型事業所の場合)
生活介護や就労継続支援といった2事業所が一体となった多機能型事業所の場合は、利用者数により兼務できるかどうかが変わります。事業所の利用者数が60名以下の範囲であれば、管理者と各サービスのサービス管理責任者は全て兼務できます。また直接処遇職員に関しては、重度の障がいを持った子どもへの対応をおこなっている、利用者数20名以下の事業所だった場合、サービス管理責任者と直接処遇職員の兼務が可能です。
2.サービス管理責任者が働く場所
サービス管理責任者が活躍する分野は介護・地域生活(身体)・地域生活(知的・精神)・就労の4つあり、それぞれで働く場所が異なります。そのため今回は各分野ごとにどんな職場で働くのかをご紹介します。
2-1.介護
【療養介護】
療養介護では、医療機関で入院生活を送る障がいを持った方へ、日中の身体介護や機能訓練、療養上の管理などを提供しています。
【生活介護】
障がい者支援施設などに入所している方の中で、常に介護を必要とする方への身体介護や生活援助に取り組んでいます。またそのほかにも創作活動や生産活動の機会提供などもおこなっています。
2-2.地域生活(身体)
【自立訓練(機能訓練)】
身体障がいを持った方や難病を患っている方などが利用する施設や住まいへ訪問し、リハビリのサポートや生活に関する相談や助言をおこなっています。リハビリのサポートをおこなうため、理学療法士や作業療法士、看護師といったコメディカルが人員配置に含まれています。
2-3.地域生活(知的・精神)
【自立訓練(生活訓練)】
こちらは知的障がい、または精神障がいを持った方が利用する施設や住まいを訪問し、自立した日常生活を送るために必要な入浴や排せつ、食事などの訓練を提供しています。また生活等に関する相談や助言などもおこなっています。
【グループホーム(共同生活援助)】
グループホームは障がいを持った方が共同生活を送る施設で、こちらでは夜間帯に身体介護をはじめとした日常生活のサポートや生活のうえで必要な相談などをおこなっています。
2-4.就労
【就労移行支援】
就労を希望する65歳未満の障がいをお持ちの方へ、生産活動や職場体験などの活動の機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上をサポートしています。また求職活動に関する支援やひとりひとりの適性に応じた職場の開拓、就職後に職場に定着できるようサポートしていくといったサービスも提供しています。
【就労継続支援(A型)】
通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約にもとづく就労が可能な方に対して、雇用契約の締結による就労および生産活動の機会の提供、その他就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練などをおこなっています。対象者は以下のとおりです。
- 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
- 特別支援学校を卒業して就職活動をおこなったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
- 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現雇用関係の状態にない者
▼動画で就労継続支援A型の一日を見る
【就労継続支援(B型)】
通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約にもとづく就労が困難な方に対して、就労および生産活動の機会の提供、その他就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練などをおこなっています。対象者は以下のとおりです。
- 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で 一般企業に雇用されることが困難となった者
- 50歳に達している者又は障害基礎年金1級 受給者
- 1及び2に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握がおこなわれている者
