今週のテーマは「二度目のデートでドライブ遠征。女が冷めた男の言動は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:2回目のデートは、日帰りドライブ。高級外車で迎えに行った男に女の本音とは
義樹との半日…いや、ほぼ丸一日の軽井沢ドライブデートを終え、私は帰宅した途端にラグへそのままドサっと倒れ込んだ。
義樹は自宅の下まで高級外車で迎えに来てくれ、行きたかった軽井沢の邸宅レストランでの食事代もカフェも、全部彼が支払ってくれた。
最後は自宅の下まで送ってくれ、その間に指一本すら触れてこない…と、完璧なデートだったと思う。
しかしこの疲労感はなんだろうか。
「疲れた……」
今日の感想は、とにかくこの一言に尽きる。それと同時に、今日1日で、「彼はない」としっかりわかった気がする。
A1:行ってみたいお店だったし、気が合いそうだと思ったから。
義樹と出会ったのは、タワマンのパーティールームで開催されたワイン会だった。
ワイン好きな人たちが各々お気に入りのワインを持ち寄って飲む…という会だけれど、もちろん目的は別にある。
私はもちろん、出会いを求めて参加した。
最初はまんべんなくみんなと談笑していると、少し遅れて一人の男性がやってきた。
「皆さん、僕の友人で、弁護士の義樹です」
そう幹事の慶太さんに紹介された人が、義樹だった。
― 弁護士さんなんだ…。
頭の中で、何かが弾ける。30代前半くらいだろうか。しかもたまたま私の隣に座ってくれたので、二人で色々と話し込んでいた。
結局この日は何もなかったけれど、翌日。義樹の方から個別で連絡が来た。
― Yoshiki:昨日はありがとございました。よければ、次は二人で美味しいワインが飲める店へ行きませんか?
なんとなく、こういう流れになることは予測していたが、彼から連絡が来たことは嬉しかったし、ちょっと安堵した。
― sana:いいですね!ぜひ。
初デートは、義樹がワインが好きな私のために、『élevé』を予約してくれていた。
「う〜〜〜ん、美味しい♡」
「ですよね。ここ、グラスワインが豊富で。二人で一本開けても良いのですが、いろんな種類を飲めた方がいいかなと思って」
好きなテイストのワインを、グラスでたくさんの種類の中から選べるのは、ワイン好きからするとたまらなく贅沢な環境だ。
「義樹さんは、普段はどの辺りで飲まれているんですか?」
「僕は家が白金なので、あの辺りも多いですし。でも西麻布とか六本木とか…。たまに銀座もあります。紗奈さんは?」
「私もその辺りですかね。あとは恵比寿とか。美味しいお酒とご飯に目がなくて、素敵なレストランがある場所へ行く感じです」
「それ、わかります!いいですよね」
ここまで話していると、なんとなく義樹の人となりや経済レベルがわかってきた。美味しいものが好きで、いいお店もたくさん知っている。
しかも、これは本当にただの偶然なのだけれど、気になっているお店を言い合っていた時のこと。
「実は今、軽井沢で一軒行ってみたいお店があって…」
「え、どこですか!実は僕もあるんです」
まさかの、同じお店をブックマークしており、お互い思わずテンションが上がる。
「これはもう…行くしかないですね」
「ですね!嬉しい」
「紗奈さん、いつ空いていますか?僕、車出しますよ」
「いいんですか!?ありがとうございます♡」
こうしてトントン拍子に二度目のデートが決まった私たち。しかも軽井沢なので少し遠出のデートになる。
― でも別に泊まるわけじゃないし、いいよね。
そう思っていた。
A2:運転が下手すぎて、色々悟った。
初デートから少し日が経ってしまったけれど、お互いの休みが合った土曜日に、私たちは軽井沢へ日帰りデートをすることになった。
当日。「ドライブデートなので、パンツかな」など色々と考えて、義樹の到着を待つ。すると「着いた」との連絡があり、ワクワクしながらマンションの下へ降りると、高級外車で迎えにきてくれた義樹の姿が目に入る。
「義樹さんの車、かっこいいですね…!これに乗れるの、嬉しい」
「実は買い替えたばかりで。結構スピードが出るから、しっかりつかまっていてくださいね」
最初は、私もはしゃいでいた。しかしドライブの途中から、少し様子がおかしくなってきた。
まず、義樹がスピード狂だったのだ。
「結構スピード出るんですね」
「やっぱりこの車の醍醐味は、このエンジン音にありますからね」
「男のロマンって感じですね!」
高級車なので、スピードが出ることは知っている。しかしSUVタイプだったらまだ良いかもしれないけれど、スポーツカータイプの車高が低めの2シーターで、スピードを法定速度ギリギリまで出されると、シンプルに怖い。
しかも最初から、さらに気になっていたことがある。それは、車内が無音なことだった。
「義樹さんって、いつも音楽は何を聞かれるんですか?」
話が盛り上がっていれば良いけれど、二度目ましてのデートで片道約2時間。無音は、結構辛いものがある。
「実は、あまり聞かなくて。うるさいのが苦手なんですよね。何か音楽つけますか?」
「もし何かあれば。でも、うるさいの苦手だったら大丈夫です」
「あと少しなので、行っちゃいましょう」
― 何話せば良いのよ…。
その気疲れがピークに達した時だった。ようやく軽井沢へ入ったものの、目的のレストランまで、山道が続く。しかし、義樹はしゃべりながらグイグイと運転している。
結果、山道のカーブにグルングルンと振り回された私は、当然のことながら気分が悪くなってしまった。
「着きました!やっぱり最高ですね、軽井沢は」
楽しそうにしている義樹とは対照的に、せっかく楽しみにしていたレストランへ着いても私は車酔いで大変なことになっていた。
「え?大丈夫ですか?どうしました?」
「ちょっと、車酔いしてしまったみたいで…」
「えー。それは大変だ。とりあえず、水飲みましょう」
お店の人がお水を持ってきてくれたり、色々してくれたので少し治ってきた。
「カーブが多かったですもんね…すみません、話に夢中で気が付かなくて」
「いえいえ。お水飲んだら、だいぶ楽になってきましたので。それよりせっかくなので、楽しみましょう!」
義樹も決してワザとではないことはわかっている。私も彼に気を使わせないように、最初は若干無理をしながら食事を開始した。食事自体はとても美味しかったし、中盤から調子もよくなり、楽しめるようになった。
お会計もスムーズに済ましてくれていた義樹。
「どうしますか?帰りにコーヒーでも買って帰りますか」
気も使ってくれるし、いい人だと思う。
でもまた帰りも、あの荒い運転が待っているかと思うと、再び気分が悪くなってきた。
「そうですね。せっかくなので、どこか落ち着いて、コーヒー飲んでから帰りましょう」
結局少しコーヒーを飲んで落ち着いたものの、帰りもすごいスピードの静かな車内で2時間一緒に過ごすことになった。
車の運転は、女性の扱いに似ているとよく言う。
どこまで当てはまるかわからないけれど、一見穏やかな義樹。でも彼の運転を見ている限り「もしかすると、本当は気性が荒いのかな…?」と勘繰ってしまう。仮にも女性が隣に乗っているのに、少し気を使うとかできないのだろうか。
そして何より、音楽もない静かな車内での往復4時間はかなり辛く、今後も一緒にいて盛り上がる未来が思い描けない。
「義樹さん、何から何までありがとうございます。車も出してもらった上、ご馳走にもなってしまって…」
「そんな、もちろんですよ。代わりに、またデートして下さい」
「それはいつでも」
そうは言ったものの、どうにも盛り上がらず…プラス、あの運転を思い出すとだんだんとLINEを返すのも面倒になってしまい、二度のデートで終了となった。
▶【Q】はこちら:2回目のデートは、日帰りドライブ。高級外車で迎えに行った男に女の本音とは
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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秋のデートの盲点とは

