世界にあるユニコーン企業の「約13%」が中国企業
リサーチ会社のCBInsightsがまとめた世界ユニコーン企業約1270社には、中国企業162社がランクインしている(2025年4月末時点)。先端技術を駆使したユニコーン企業が続々と登場し、デジタル・イノベーションも様々な業界に広がっている。
サービス業では電子決済、スマホアプリを活用する電子決済やEコマースが普及する一方で、新たなニューエコノミーが創出されている。
また製造業では、IoTにより生産効率が向上し、様々な製品にデジタル技術が組み込まれ、高品質な製品として他社との差別化を実現できるようになっている。
伝統的な産業では、従来の技術、生産方式、成功体験に阻まれ、デジタル・イノベーションの推進は必ずしも容易ではない。中国は、AIや通信技術を駆使する製品・サービスの開発が先進国にキャッチアップするカギと位置づけ、製造業の高付加価値化を目指している。
生活に根づく「デジタル化」が、新たな産業を生む“土壌”に
中国社会ではデジタル化が浸透し、人々の生活に根づいたものになりつつある。電子商取引、テレワーク、ライブ動画配信、生成AIなどのアプリケーションが全方位で普及し、社会の運営効率が大幅に向上した。
ビッグデータやAIによるディープラーニングを通じて、個人行動など正確な把握と予測が可能になる。犯罪防止の観点から監視カメラが数億台設置され、その認識度は世界でトップクラスだ。そのアルゴリズムを使い、今ではマスクをしていても96%の確率で個人を認識できる装置も生まれている。一部のレストランやコンビニエンスストアでも、決済システムに顔認証を採用している。
そして企業・社会活動をより効率化させると同時に、新しい産業やイノベーションの創出につながるものである。ネット人口の増加、スマホの普及に伴い、通信・AI技術を生かした無人コンビニ、自動運転バス・ロボタクシーなどの新サービスの社会実装も急速に進んでいる。
中国が国家戦略として描く「AI産業発展プロセス」
AI開発を牽引した李開復氏
中国におけるAI技術開発の歴史において、米アップルや米マイクロソフトを経験した李開復氏が重要な牽引役として知られている。
1998年に米マイクロソフトが北京市に研究所を設け、李氏はトップを務めた。その後、グーグル中国法人の社長を経験し、2009年にはAI技術に特化した投資会社である「創新工場(Sinovation Ventures)」を立ち上げ、次世代ハイテク企業の育成に注力している。
李氏は研究活動を積極的に推進し、多くのAI人材やスタートアップを生み出し、中国のAI政策策定にも大きな示唆を与えたといえる。
2015年、中国政府が「中国製造2025」を打ち出し、AI技術を活用し、IoTの研究開発を推進する方針を示した。
すでにインターネット大国としての基盤を構築した中国は、2017年に「AI産業発展計画」を打ち出し、スマート製造、クラウドコンピュータ、情報セキュリティが研究開発の重点対象となった。そこには、AI産業発展のプロセスが3つの段階を踏んで描かれている。
第1段階では、2020年に中国のAI技術が世界水準に達し、新たな経済の成長エンジンとなる。第2段階では、2025年にAI基礎理論のブレークスルーを実現し、一部の分野で中国のAIにおける技術・応用が世界をリードする。
最終段階の2030年には、中国のAI総合力が世界トップ水準となり、AI産業は10兆元規模に達し、経済強国を支える基盤となる。
このようにステップバイステップでAI研究開発を強化していけば、中国は着実にAI大国に向けてその地位を高めていくであろう。
AI推進の背景にある「ハイテク製品」の育成
AIの推進を国家戦略とする目的の一つは、コネクテッドカー、コミュニケーションロボット、ドローンなどハイテク製品を育成することだ。
2017年末、中国政府は「次世代AI産業発展の3年計画」を発表。主要8大AI関連製品の育成や、センサー、ハイエンドチップなどコア部品の開発・量産を図り、スマート製造の実現に向けた体制整備を急いだ。
2022年には、中国科学技術省など中央政府6部門が「用途別のイノベーションおよびAI応用の推進」を発表。様々な産業分野や利用シーンにAIの導入を求めている。
