対中輸出規制も“効果ナシ”?…米国の地位を脅かす中国AI
2025年現在、中国で登録された生成AIサービスはすでに300種類を超え、アプリを通じて生活の様々な分野での活用を広げている。
DeepSeekなどAI企業の台頭は、AIの国家戦略が結実しつつある証拠である。今後もスタートアップが増え、性能競争に加わっていけば、AI分野での米国の優位が揺らぐ恐れがある。
米アルファベットが発見したディープラーニングの一手法であるトランスフォーマーは、オープンAIによる「ChatGPT」といった大規模言語モデル(LLM)の革新につながった。一方、大量のデータ学習が必要な生成AIには、米国製の先端半導体が欠かせないとされてきた。
米国は先端半導体の対中輸出規制により、中国のAI開発を遅らせる戦略をとってきたが、規制の効果は十分とは言い難いとの見方があった。急速に成長する中国のAI企業に対し、米国はさらに規制を強化する可能性がある。
こうして、中国は日米欧の製造業にキャッチアップする難しさを認識し、AIで新天地を開こうとしている。政策推進により、企業参入が増加し、中国におけるAI開発が加速している。
今後、デジタル制御機器の進化によって工場や部品物流の無人化が実現すれば、スマート設備の遠隔運営、製品の連続生産、品質のモニタリングなどを特徴とする新しい生産方式を構築できる。コネクテッド機能を備える製品の量産に伴い、部品、装置、素材の新たな需要が生まれ、産業構造が一気に転換する。
中国のAI特許申請、米国を抜き“世界一”に
大規模モデルの開発には高度なスキルが求められ、そのための人材育成が急務となっている。
2018年以降、中国は自国の需要に応えるため、国内のAI人材プールを拡充し、トップAI人材数で米国に徐々に近づいてきている。2024年末時点で、全国で498の大学がAIの学部・専攻を設置し、AIデータ・アルゴリズムエンジニアの育成を急いでいる。
また米国で学び、米国企業を経験して世界レベルの研究能力を身につけた中国人研究者が技術の躍進の原動力となっており、中国国内ではこうした優秀な人材を受け入れる体制も整っている。
米シンクタンクのMacroPoloの調べによると、中国で育成されたAI人材は米国のAI人材全体の38%を占める。一方、米国で博士号を取得した中国人AI人材の約7割は米国にとどまり、米国は依然としてトップAI人材に最も人気のある国である。
こうしてAIの研究力で中国が米国を猛追しており、中国のAI特許申請件数は2019年に初めて米国を超え、中国企業も米国に匹敵する生成AIの開発力を備えている。
世界知的所有権機関(WIPO)の報告によると、2014~23年にかけて、提出された中国の生成AIに関する特許出願件数は3万8000件を超え、世界トップとなっている。2024年にAIの国際学会「NeurIPS」などに採択された論文の所属研究機関をみると、清華大学、北京大学など中国の4大学・機関が世界トップ10に食い込んでいる。
