
1.作業療法士(OT)とはどのような職業なのか
作業療法士はリハビリテーションの分野における専門職の一つです。その名の通り、作業療法士は対象者の「作業」に焦点を当てた治療・支援を得意としています。
英語では「Occupational therapist」といい、日本においては「OT」と略されます。
・そもそも「作業療法」とは
「作業療法」とは、心身に障がいのある方に対して、その治療手段としてさまざまな作業を用いる療法です。
作業というと、手工芸のような細かい手作業などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ここでの作業とは日常生活に関わるすべての諸活動のことを指しています。
食事や着替えなどのセルフケア、家事や仕事、余暇活動なども「作業」と位置づけられているのです。
けがや病気など、何らかの理由で作業(=活動)がうまくいかなくなったとき、作業療法士はさまざまな方法で対象者をサポートしていきます。さらに作業療法士は、身体だけでなく精神面に対しても作業を用いてアプローチすることができます。
作業療法士は、対象者が自分らしく生き生きとした生活を送ることができるように、さまざまな作業を通して心と体を支えていく職業であるといえるでしょう。
2.作業療法士の仕事内容にはどんなものがある?
作業療法は人々の健康と幸福を促進するために、日常生活の領域で行われるさまざまな作業に焦点を当てた治療、指導、援助です。
対象となる領域によって作業療法士の仕事内容は異なりますが、対象者の「自分らしい生き方」を支援するという考え方は変わりません。作業療法士は、 対象者の身体・精神機能、置かれている環境、本人のニーズなどに応じて、作業療法を展開していきます。
作業療法では、以下の3つの能力を改善・維持することによって、自分らしい生活を獲得することを目標としています。
- 基本的動作能力:運動、感覚・知覚、心肺や精神、認知機能
- 応用的動作能力:食事やトイレ、家事など、日常生活で必要とされる活動
- 社会的適応能力:地域活動への参加、就労、就学、趣味活動など
それぞれの能力改善・維持のために作業療法士が実際に行う具体的なケア内容には以下のようなものがあります。
(1)基本的動作能力
物理的感覚運動刺激(準備運動を含む)、トランポリン、滑り台、サンディングボード、プラスティックパテ、ダンス、ペグボード、体操、風船バレー、軽スポーツなど
(2)応用的動作能力
食事・更衣・排泄・入浴などのセルフケア、起居・移動、物品・道具の操作、金銭管理、火の元や貴重品などの管理練習、コミュニケーション練習、福祉用具の作成や使用、退院後の住環境の調整など
(3)社会的適応能力
書字、計算、パソコン操作、対人技能訓練、生活圏拡大のための外出活動、銀行や役所などの利用、公共交通機関の利用、絵画、音楽、各種ゲームなど
他にも、生活環境を改善するための相談、家庭内・職場内での関係者との相談調整、ライフスタイルの再設計など、さまざまな方法で「自分らしい生き方」をサポートしています。
作業療法士の扱う領域は幅広く、活躍の場も多岐にわたることがおわかりいただけるかと思います。
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