いつまでも輝く女性に ranune
臨床心理士とは? 資格の取り方、仕事内容、給料・年収、公認心理師との違いを解説

臨床心理士とは? 資格の取り方、仕事内容、給料・年収、公認心理師との違いを解説

特集 仕事を知る 臨床心理士編
なるほど!臨床心理士データ

1. 臨床心理士とは?

・心理的問題を抱えた人を支援する、心の専門家

臨床心理士は、臨床心理学に基づく知識や技術を活かして、人々が抱える心の問題に向き合う専門家です。心理カウンセラー、スクールカウンセラー、産業カウンセラー、心理相談員など勤務先によってさまざまな呼び名がありますが、これらの心理職に就くために必要となる資格の一つが臨床心理士です。

活動の場は医療、保健、福祉、教育、司法、産業など多岐にわたります。臨床心理士は主にカウンセリングを通してクライエント(相談者)が抱える問題を傾聴し、解決に向かうよう援助します。

臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格であり、制度開始の1988年から2023年4月までの間に、4万1,883人の臨床心理士が誕生しています。

・臨床心理士と公認心理師の違い

臨床心理士が民間資格であるのに対し、公認心理師は公認心理師法に基づく国家資格です。そのため公認心理師になるには、所定の要件を満たしたうえで公認心理師国家試験に合格する必要があります。

公認心理師は2017年に新設されたばかりということもあり、仕事内容や勤務先において臨床心理士との違いはまだあまり見られません。しかし「公認心理師の創設による臨床心理士への影響」で後述するとおり、一部の領域については公認心理師のみに認められる役割も出てきています

公認心理師について詳しくはこちらでも解説しています。
>公認心理師とは?

2. 臨床心理士になるには?

・臨床心理士資格が必要

臨床心理士として働くには、日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格する必要があります

臨床心理士試験を受験するには、指定大学院または専門職大学院を修了するルートが一般的です。

〈ルートA〉

指定大学院(1種、2種)を修了し、次の必要な年数の心理臨床経験*を積んだ者

  • 第1種指定大学院の場合 … 不要
  • 第2種指定大学院の場合 … 1年以上の心理臨床経験

心理臨床経験…教育相談機関、病院等の医療施設、心理相談機関等で心理臨床に関する従業者(心理相談員、カウンセラー等)としての勤務経験。無給のボランティアや研修員等は対象外

〈ルートB〉

専門職大学院において、臨床心理学またはそれに準ずる心理臨床に関する分野を専攻する専門職学位課程を修了した者

臨床心理士になるには
*「海外での指定大学院と同等以上の教育歴があり修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者」「医師免許取得者で取得後に心理臨床経験2年以上を有する者」も受験が可能

受験要件となっている指定大学院、専門職大学院の一覧は日本臨床心理士資格認定協会の公式サイトよりご確認ください。数は少ないですが通信制カリキュラムのある大学院もあります。
>日本臨床心理士資格認定協会|受験資格

・臨床心理士試験の概要

臨床心理士試験は例年10月から11月にかけて、東京で実施されます。

  • 7月〜8月:願書等提出
  • 10月中旬:一次試験(筆記)
  • 11月中旬:二次試験(面接)
  • 12月下旬:合格発表

臨床心理士の一次試験は、マークシート形式の多肢選択方式試験と、定められた字数の範囲内で論述する論文記述試験の2種類で構成されています。ただし専門職大学院を修了した場合、論文記述試験は免除されます。

臨床心理士試験 一次試験(筆記)の概要

〈多肢選択方式試験〉
  • 形式:マークシート
  • 出題数:100問
  • 試験時間:2時間30分
  • 出題内容:
    • 心理学の基礎的設問
    • 臨床心理士の専門業務(臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助、それらの研究調査)に関する設問
    • 臨床心理士に関する倫理・法律等に関する設問
〈論文記述試験〉
  • 形式:記述式
  • 文字数:1,001字〜1,200字
  • 試験時間:1時間30分
  • 出題内容:心理臨床に関するテーマ

二次試験の面接試験は、一次試験の多肢選択方式試験の成績が一定の水準に達した人のみ実施されます。

臨床心理士試験 二次試験(面接)の概要

  • 形式:面接官2名、受験者1名
  • 面接時間:15分程度
  • 面接内容:臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家として最低限備えておくべき人間関係能力を問う

そのほか、臨床心理士試験に関する最新情報は日本臨床心理士資格認定協会の公式サイトからご確認ください。
>日本臨床心理士資格認定協会|臨床心理士になるには

・臨床心理士試験の合格率の推移

臨床心理士試験の過去5年間の合格率は、65%前後で推移しています。また、公認心理師資格が新設された影響か、近年の受験者数は減少傾向にあります。

臨床心理士の合格率は65%前後で推移
参照:公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会|「臨床心理士」資格取得者の推移

tips|合格後は、5年に一度の更新が必要

臨床心理士は資格取得後も自己研修が求められることから、5年ごとの資格更新が義務付けられています。資格更新するには、5年間のうちに次のような活動をおこない、合計15ポイント以上を取得する必要があります。

  • 臨床心理士研修会への参加(講師・発表者)…4ポイント
  • 臨床心理士研修会への参加(受講者)…2ポイント
  • ワークショップ型研修会への参加(講師・発表者)…4ポイント
  • ワークショップ型研修会への参加(受講者)…2ポイント
  • 研究誌・機関誌への研究論文の発表(原著)…10ポイント など

あなたにおすすめ