3. 理学療法士の仕事内容
検査測定・評価
リハビリを実施する前に、まずは患者の状態を確認し今後の治療方針を立てます。基礎疾患や既往歴、生活状況といった患者の基本情報はもちろん、身長体重、手足の長さ、心電図、血圧、筋電図、運動機能(筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、平衡性など)、神経機能などを検査します。
検査の結果から必要なリハビリのプログラムを設計し、医師をはじめとした多職種との協議のうえ治療の方針と目標を決定します。その後はプログラムに沿って運動療法や物理療法をおこない、定期的に再評価を繰り返しながら回復を目指します。
運動療法
患者自身の力、または理学療法士による手技や器具によって患者の身体を動かすことで、筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、平衡性などの機能の改善を目指します。
代表的な運動療法には、関節可動域運動、筋力増強運動、筋持久力運動、協調性運動、バランス運動、全身持久力運動などがあります。また座る・立つ・歩く、食事を取る、衣服を着替えるといった日常生活動作(ADL)を練習することも運動療法の一部です。
物理療法
電気や光線、温熱、マッサージなどの物理的なエネルギーを利用することで、痛みの軽減、血液循環や筋機能の改善を目指します。
代表的な物理療法には、患部を温める温熱療法、患部を冷やす寒冷療法、超音波などで刺激を与える電気療法、水の浮力や水流を利用する水治療法などがあります。
補装具の適合判定
義肢や装具、杖、車椅子などの補装具が必要な患者の適合判定や調整、着脱や使い方のレクチャーをおこないます。なお義肢や装具などの採寸・採型・製作は義肢装具士がおこない、その過程で理学療法士と連携することもあります。
家屋調査・環境調整
退院後の生活で不便がないよう、患者の自宅へ訪問し屋内や周辺環境を調査することがあります。調査の結果、必要に応じて家屋の改造提案や生活上の指導をおこないます。家屋改造の例では、手すりの設置や段差の解消、介護用ベッドの提案などがあります。
多職種・患者家族との連携
リハビリを実施するには多職種間の連携が必要不可欠です。理学療法士が接することが多いのは医師や看護師、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、心理職、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど。それぞれの職種が専門性を活かし、協力しながら今後の治療方針や支援内容を決めます。
また患者の家族に対するコミュニケーションや指導も重要な役割の一つです。患者の退院後、自宅で家族が介護する際に身体を痛めることがないよう、正しい介助方法を指導します。
記録作成
リハビリの所要時間や実施内容、評価内容、改善点などを毎回のリハビリ後に作成します。この記録を基に診療報酬または介護報酬が請求されます。
健康教育・傷害予防
生涯にわたりできるだけ健康で過ごせるよう、生活習慣病に対する教育や運動の指導、高齢者の介護予防、フレイル*予防などをおこないます。
*フレイル…加齢により心身の運動機能や認知機能などが低下した結果、さまざまな健康障害に繋がりやすい状態のこと4. 理学療法士の勤務先
理学療法士の約8割は医療機関(病院・センター、診療所)に勤務しています。次いで多いのは介護サービス施設・事業所です。

医療分野
医療機関の中では一般病院、総合病院、診療所に勤務する人の割合が多く、そのほかは大学病院、小児病院、療養型病院などで働く理学療法士もいます。
一般病院や総合病院では病棟のほか集中治療室などに配属されます。急性期の患者が多い病院や急性期病棟では早期治療と退院を目標にしたリハビリがメインとなるため、患者一人ひとりと関わる期間が比較的短くなります。
一方、リハビリテーション専門の病院や療養型病院、回復期・慢性期の病棟ではより長期的な目標でリハビリに取り組みます。日常生活動作の訓練をはじめ、補装具の適合調整、退院に向けた家屋調査や環境調整などもおこないます。急性期の病院よりも患者一人ひとりを長期にわたりサポートする点が特徴です。
また最近では退院後に自宅や施設で療養生活を続ける患者が増えていることから、訪問リハビリを実施している病院や診療所も多くなっています。
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福祉分野
高齢者を対象にした福祉施設では、退院後に施設から在宅復帰を目指して集中的にリハビリをおこなう介護老人保健施設(老健)、自宅からの通いでリハビリに取り組むデイサービスやデイケア(通所リハビリテーション)などがあります。また最近では訪問看護ステーションで働く理学療法士が増えており、在宅療養中の患者のもとを訪れリハビリを提供します。
割合としては少ないですが、障がい者や障がい児を対象とした福祉施設で働く理学療法士もいます。生まれつき障がいを持つ人の場合は、機能回復ではなく新たな機能獲得を目指してリハビリに取り組みます。
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教育・研究分野
大学や短大、専門学校で理学療法士を目指す学生の教育に携わったり、より専門性を高めるために大学院や研究機関に所属したりする理学療法士もいます。なお、理学療法における研究は臨床での経験が重視されるため、本業の傍ら個人や職場で取り組むこともめずらしくありません。研究の成果は学会や研究会などで発表します。
行政分野
保健所や保健センターなどの行政機関で、人々の健康のための教育や啓発に取り組みます。乳幼児健診での運動発達面の評価や相談、生活習慣病予防のための指導など、幅広い人を対象に運動の観点からサポートします。
スポーツ・健康産業分野
プロのスポーツチームやフィットネスクラブ、地域スポーツクラブなどでスポーツトレーナーとして働く理学療法士もいます。この分野では傷害予防や機能改善のほか、運動能力を高めるためのトレーニングや健康管理などのコンディショニングも担当します。
また整骨院や整体院などで働く理学療法士もいます。ただしこれらの施術所では医師の指示がないため理学療法としてリハビリは実施できず、あくまで整体の範囲内として施術をおこないます。
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