
1. ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?
介護保険サービスの根幹を担う専門職
ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、2000年の介護保険制度の開始に伴い誕生し、介護保険法によって定められた専門職です。
介護保険サービスを利用するために必要なケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、関係する事業者や医療機関、自治体などと連携しながら、利用者一人ひとりに最適な介護サービスを提供できるようマネジメントします。
ケアマネジャーは介護職員をはじめとした福祉関係者、医療従事者、行政担当者など幅広い人たちと関わりを持ち、介護保険サービスを提供するうえでの中心的存在として重要な役割を担っています。
2. ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには?
一定の実務経験を満たしたうえで、ケアマネジャー試験の合格と実務研修の修了が必要
ケアマネジャーは国家資格ではなく都道府県ごとに登録・管理されている公的資格です。
ケアマネジャーになるには、各都道府県で実施されるケアマネジャー試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。この試験を受けるためには、医療福祉系の国家資格や一定の実務経験が求められます。

ケアマネジャー試験の受験要件
ケアマネジャー試験は都道府県ごとに実施されますが、受験要件は全国一律で、次のとおりです。
ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験要件
次の1または2の業務に通算5年以上かつ900日以上従事することで、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得られる。
(1)以下の国家資格等に基づく業務
医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師/理学療法士/作業療法士/社会福祉士/介護福祉士/視能訓練士/義肢装具士/歯科衛生士/言語聴覚士/あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師/栄養士/管理栄養士/精神保健福祉士
(2)以下の職種で該当する施設等でおこなう相談援助業務
- 生活相談員…特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、一部のサービス付き高齢者向け住宅)/地域密着型特定施設入居者生活介護/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護/介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)/介護予防特定施設入居者生活介護
- 支援相談員…介護老人保健施設
- 相談支援専門員…計画相談支援/障害児相談支援
- 主任相談支援員…生活困窮者自立相談支援事業
※2018年の制度改定により、それまで受験資格として認められていた「5年以上の実務経験を持つ介護職員初任者研修修了者」等や「10年以上の実務経験を持つ無資格者」は受験要件から削除されました
なお2024年度(第27回)までにケアマネジャー試験に合格した人の職種別の内訳を見ると、介護福祉士がもっとも多く、次いで看護師・准看護師、相談援助業務等従事者となっています。

※複数の資格取得者の重複を含む
ケアマネジャー試験の概要
ケアマネジャー試験は、ケアマネジャーの業務に必要な専門知識と技術を習得する目的のもと、都道府県ごとに実施されます。受験地は勤務先のある都道府県(受験資格に該当する仕事に従事していない場合は現住所のある都道府県)と決められており、自由に選ぶことはできません。
試験日と合格発表日は全国共通ですが、受験の申込み期間は各都道府県ごとに異なります。例年のスケジュールは次のとおりです。
- 6月〜7月:申込書類の提出期間 ※都道府県により異なる
- 10月中旬:試験日
- 12月上旬:合格発表日
申込み期間のほか、申込方法や受験料なども地域によって異なりますので、詳細は各都道府県のWebサイトで確認してください。
>社会福祉振興・試験センター|各都道府県の実施案内
なお、ケアマネジャー試験の配点は次のとおりです。合格基準点となる正答率は例年70%前後となっています。
- 介護支援分野:25問(1問1点)
- 保健医療福祉サービス分野:35問(1問1点)
- 計60問(60点満点)
ケアマネジャー試験の合格率の推移
ケアマネジャー試験の合格率は、受験資格改定後10〜20%台で推移していましたが、2024年度(第27回)の試験では32.1%と、前年から11ポイント以上上昇しました。合格率が30%を超えるのは20年ぶりで、過去5番目に高い結果となっています。

ケアマネジャー実務研修の内容
ケアマネジャー試験の合格後、次に待っているのは実務研修です。実務研修は87時間以上の講義・演習、および3日間の実習から成るカリキュラムで、全日程を修了する必要があります。
研修の内容は全国一律ですが、日程は実施団体によって異なり、年に数回実施している都道府県もあります。また講義の一部を動画視聴により自宅で受講できる場合もあります。
ケアマネジャー実務研修(介護支援専門員実務研修)の内容
研修内容 | 研修期間 | |
前期課程 (講義・演習) | ケアマネジメント*に必要な視点や専門的知識、技術について講義形式を中心に習得する | 49時間 |
実習 | ケアマネジメントの基礎技術として、居宅介護支援事業所でアセスメントシートやケアプランなどを作成する | 3日間 |
後期課程 (講義・演習) | 実習で得た気づきや課題を振り返りながら、グループワークを中心に演習をおこない、必要な知識や技術、倫理観を習得する | 38時間 |
*ケアマネジメント…ケアマネジャーがケアプランを作成し、さまざまな関係機関と連携しながら利用者にサービスが提供され、定期的なモニタリングを繰り返し改善を図っていく一連のプロセスのこと
実務研修を終えると研修修了証明書が発行されますので、各都道府県の担当窓口で介護支援専門員の登録申請をおこないます。登録が完了し介護支援専門員証が交付されると、晴れてケアマネジャーの仲間入りとなります。
tips|5年ごとの更新研修を忘れずに!
ケアマネジャーの資格は5年単位の更新制となっており、更新するには「更新研修」の受講が必要です。研修時間は88時間や56時間など、ケアマネジャーとしての実務経験の有無や長さによって異なります。有効期限ぎりぎりになって「研修に行く時間がない!」とならないように、余裕を持って計画的に更新研修を受けるようにしましょう。

