

1. 臨床検査技師とは?
病気の診断・治療に必要な検査をおこなう医療技術者
臨床検査技師とは、病気の診断や治療、健康の維持に必要な各種の検査(臨床検査)をおこない、その結果を医師に提供する医療技術職です。
日本における臨床検査技師の英語表記はMedical Technologist(MT)ですが、海外で臨床検査技師にあたる職業はClinical Laboratory Technician(Medical Laboratory Technician)や単にLaboratory Technicianと呼ばれています。
臨床検査は主に医師が担ってきましたが、検査技術の高度化・分業化が進んだことで、検査に特化した医療技術者として誕生したのが臨床検査技師です*。
*まず1958年に検体検査のみを扱う衛生検査技師が、その後1970年に検体検査と生体検査(生理機能検査)の両方を扱う臨床検査技師が国家資格化された。根拠に基づいて適切な診断や治療をおこなうために、正確な検査データは欠かせません。検査技術が日々進化するなか、臨床検査技師は“検査のプロ”としてチーム医療に貢献しています。
また、病院や診療所などの医療機関のみならず、検査を専門におこなう臨床検査センターや、製薬会社や医療機器メーカーなどの一般企業で活躍する臨床検査技師もいます。

*1万人未満を四捨五入しているため、男女別の就業者数の合計と総就業者数が一致しないことがある
臨床検査技師と臨床工学技士の違い
臨床検査技師は病気の診断・治療に必要な検査をおこない、臨床工学技士は生命維持管理装置の操作や医療機器の保守・点検をおこなう医療技術職です。
両者は主な勤務先が医療機関であり、それぞれの専門性を活かして一般企業で働くこともできるという点で似ていますが、男女比については対照的です。
臨床工学技士は7:3で男性が多いのに対し、臨床検査技師は3:7で女性が多くなっています。心電図や超音波(エコー)など脱衣が必要な検査が多いことや、医師や看護師と比べ夜勤の負担が少ないことが、女性技師が多い主な理由と考えられています。
臨床検査技師 | 臨床工学技士 | |
|---|---|---|
業務内容 | 診断や治療のために必要な検査をおこなう | 生命維持管理装置の操作や、医療機器の保守・点検をおこなう |
勤務先 | 病院や診療所、臨床検査センター、製薬会社、医療機器メーカーなど | 病院や診療所、医療機器メーカーなど |
就業人口* | 約6万8,000人 | 約3万人 |
男女比* | 3:7 | 7:3 |
*男女比:臨床検査技師については総務省統計局「国勢調査(2020年)」、臨床工学技士については公益社団法人 臨床工学技士会「ワークライフバランス委員会」を参照
そのほか臨床検査技師と臨床工学技士の違いについて詳しくは、こちらの記事で解説しています。
>臨床工学技士と臨床検査技師の違いは?
2. 臨床検査技師になるには?
臨床検査技師免許が必要
臨床検査技師として働くには、国家試験に合格し臨床検査技師免許を取得しなくてはなりません。
臨床検査技師国家試験の受験資格を得るルートは主に3つあります。
〈ルートA〉
臨床検査技師養成校(大学・短大・専門学校)で所定の専門課程を修了する
〈ルートB〉
大学で医学・歯学の正規課程を修了する
〈ルートC〉
大学で獣医学・薬学・保健衛生学*の正規課程を修了し、臨床検査技師養成校で所定の科目*を修了する
*保健衛生学:看護系・リハビリテーション系・代替医療系の学部が該当する
*所定の科目:医用工学概論・臨床検査総論・臨床生理学・臨床化学・放射性同位元素検査技術学・医療安全管理学

最も一般的なのが、大学・短大・専門学校の臨床検査技師養成課程(臨床検査学科・検査技術科学科など)を修了するルートですが、大学の医学部や歯学部を修了している場合も臨床検査技師国家試験を受験することができます。さらに、獣医学部・薬学部・保健衛生学部を修了している場合は、臨床検査技師養成校で必要科目を取得することで受験資格を得られます。
なお、臨床検査技師の養成校は日本臨床検査学教育協議会のWebページで確認できます。
>日本臨床検査学教育協議会|大学・短大・専門学校(協議会会員施設一覧)
臨床検査技師国家試験の概要
臨床検査技師国家試験は年に一回、2月に実施されており、例年のスケジュールは次のようになっています。また、どこでも試験を受けられるわけではなく、実施場所は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の9都市です。
- 12月中旬〜1月上旬:願書等提出
- 2月中旬:試験日
- 3月下旬:合格発表
臨床検査技師国家試験は、下記の科目から1問1点で全200問出題されます。合格基準は120点以上です。そのほか、臨床検査技師の国家試験に関する詳しい情報は以下の記事をご確認ください。
>【2025年】第71回臨床検査技師国家試験の日程と概要、過去の結果と合格率
臨床検査技師国家試験の合格率の推移
臨床検査技師国家試験の過去5年間の合格率はおおよそ75〜85%で推移しています。

直近、2025年2月に実施された第71回臨床検査技師国家試験の結果は次のとおりです。
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
全体 | 5,131人 | 4,340人 | 84.6% |
新卒 | 4,231人 | 3,976人 | 94.0% |
既卒 | 900人 | 364人 | 40.4% |
新卒者と比べて既卒者の合格率はかなり低く、40%程度となっています。
また、多くの臨床検査技師養成校では卒業試験が実施されています。これに合格できなければ国家試験を受験できないため、実質的な“足切り試験”となっています。国家試験では養成校の1年次で学ぶ科目からも出題されますので、日頃から課題を着実にこなすことが必要です。


