

1. 公認心理師とは?
・心の問題を抱えた人を援助する、心理職で唯一の国家資格
公認心理師は心の問題を抱えた人に対して、心理学の知識と技術を用いて援助する専門家です。公認心理士ではなく公認心理師と書きます。2017年施行の公認心理師法によって心理職として国内唯一の国家資格として誕生しました。
公認心理師は心理的な問題を抱えたクライエント(相談者)に対してカウンセリングをおこない、問題を分析し、助言や指導を通じて問題解決に導きます。また、心の健康に関する知識を広めるための教育活動や情報提供をおこなうことも大切な役割の一つです。
・公認心理師と臨床心理士の違い
公認心理師が新設される以前、心理職の代表的な資格といえば臨床心理士でした。臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会によって創設された民間資格ですが、文部科学省の管轄でスクールカウンセラーの資格要件として採用されるなど、公的に認められた資格です。
しかし公認心理師が新設されたことにより、医療分野においては臨床心理士を含めた心理職と公認心理師の間に明確な職域の棲み分けができました。これまで臨床心理士は「臨床心理技術者」として診療報酬の加算対象でしたが、2018年度より公認心理師のみに限定されるようになった*のです。
*最新の2020年度診療報酬改定では、2019年4月1日より当分の間、次のいずれかの要件に該当する者を公認心理師としてみなす経過措置を取っている・2019年3月末時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者
・公認心理師の国家試験の受験資格を有する者
なお、医療以外の分野においては現時点で仕事内容や役割に大きな違いは見られていません。求人の資格要件を見ても「公認心理師または臨床心理士」と併記しているパターンが多いようです。

ただし、公認心理師の有資格者が年々増えていることや、公認心理師に関する制度が整備されていくことで、医療分野以外でも仕事内容や資格要件での差別化が進むことも考えられます。国家資格である公認心理師が公的機関、民間資格である臨床心理士が民間機関を中心に活躍することになると予測する声もあります。
そのほかにも公認心理師と臨床心理士を比較すると、次のような違いがあります。
公認心理師 | 臨床心理士 | |
|---|---|---|
有資格者数 | 7万3,628人 (2024年9月末時点) | 4万1,883人 (2023年時点) |
主な受験資格 | ・大学+大学院の卒業 ・大学の卒業+2年以上の実務経験 | 大学+大学院の卒業 |
試験内容 | 筆記試験のみ | 筆記試験と面接試験 |
資格取得後の更新 | 不要 | 必要(5年ごと) |
出典:一般社団法人日本公認心理師協会|公認心理師の都道府県別登録者数、日本臨床心理士資格認定協会|「臨床心理士」資格取得者の推移
厚生労働省の調査によると、公認心理師の有資格者のうち約7割が臨床心理士の資格も保有していることがわかりました。
臨床心理士について詳しくはこちらの記事でも解説しています。
>臨床心理士とは?
なお、公認心理“士”ではありませんので、書き間違いにはご注意ください。
2. 公認心理師になるには?
・公認心理師資格が必要
公認心理師として働くには、国家試験に合格して公認心理師資格を取得しなくてはなりません。
これから新たに大学や大学院に通って資格取得を目指す方の場合、次の3つの受験ルートがあります。

〈ルートA〉
4年制の大学または専門学校で所定の科目を修了したあと、大学院で所定の科目を修了した者
〈ルートB〉
大学で所定の科目を修了したあと、所定の施設(*)で2年以上の実務経験を積んだ者
〈ルートC〉
海外の大学において心理に関する科目を修了したあと、海外の大学院において心理に関する科目を修了した者(文部科学大臣および厚生労働大臣の認定が必要)
*…厚生労働省|公認心理師法第7条第2号に規定する認定施設
また「すでに心理職として働いている」「臨床心理士になるための大学や大学院に通っている」という方のために、特例措置として次の4つのルートも用意されています。
なお、ルートGでの受験は2022年度の第5回公認心理師国家試験が最後となります。

〈ルートD〉
2017年9月15日(公認心理師法の施行日)以前に大学院に入学し、所定の科目を修了した者
〈ルートE〉
2017年9月15日(公認心理師法の施行日)以前に大学に入学し所定の科目を修了したあと、2017年9月15日以後に大学院で所定の科目を修了した者
〈ルートF〉
2017年9月15日(公認心理師法の施行日)以前に大学に入学し所定の科目を修了したあと、所定の施設(*1)で2年以上の実務経験を積んだ者
〈ルートG〉※2022年度で終了
所定の施設(*2)での実務経験が5年以上かつ週1日以上あり、現任者講習会(*3)を修了した者
*1…厚生労働省|公認心理師法第7条第2号に規定する認定施設
*2…日本心理研修センター|第5回公認心理師試験「受験の手引」実務経験証明書の分野施設コード一覧
*3…日本心理研修センター|現任者講習会について
そのほか詳しい受験要件については、日本心理研修センターの公式サイトをご確認ください。
>日本心理研修センター|公認心理師試験
・公認心理師試験の概要
公認心理師国家試験は年に一回実施されます。2022年の第5回試験は、以下の日程でおこなわれました。
- 3月上旬〜4月上旬:願書等提出
- 7月中旬:試験日
- 8月下旬:合格発表
公認心理師国家試験は午前の部・午後の部(各120分)に分けて一日で実施されます。出題形式はマークシート形式です。
- 配点:一般問題1問1点、事例問題1問3点
- 総得点:230点満点
- 合格基準:総得点の60%(138点)程度以上(問題の難易度で補正)
・公認心理師試験の合格率の推移
公認心理師国家試験の過去5年間の合格率は次のように推移しています。2023年以降、受験者数が著しく減少しているのには、実務経験5年および講習受講者を対象とした区分Gがなくなったことが挙げられます。


