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鍼灸師になるには? 資格の取り方や国家試験の内容、年収、仕事内容について解説

鍼灸師になるには? 資格の取り方や国家試験の内容、年収、仕事内容について解説

3. 鍼灸師の仕事内容

受付・カウンセリング

スタッフ数名程度の施術所であることが多いため、鍼灸師自身が受付を担当することも一般的です。受付では患者の予約状況の管理や問診票の記入を案内します。カウンセリング(問診)では病歴や生活習慣、現在の症状、不調の原因、要望などを確認し治療方針を立てます。

tips|東洋医学の診断方法「四診」

東洋医学では治療者の視覚や聴覚などを使って患者の情報を収集する「四診」という方法があり、次の4つから成り立っています。

  • 問診:質問の受け答えから診断すること。相手の病歴や自覚症状、生活習慣などを問う
  • 望診(ぼうしん):目で見て診断すること。相手の動作や顔色、眼光、皮膚や舌の状態などを診る
  • 聞診(ぶんしん):耳や鼻からの情報で診断すること。相手の声色や声量、明瞭さ、問いかけに対する応答などの聴覚から得る情報のほか、体臭や呼気、排泄物の臭いなど嗅覚から情報を得る
  • 切診(せっしん):体に直接触れて診断すること。脈を診る「脈診」、腹部を診る「腹診」などがある

鍼灸治療

不調の改善を目的とした通常の治療のほか、リフトアップや肌質改善などの美容目的でおこなう「美容鍼灸」、冷えやストレスの解消、自律神経の調整などで妊娠しやすい身体づくりを目指す「不妊鍼灸」、疲労回復や筋肉痛の緩和、自然治癒力の向上などを目的とした「スポーツ鍼灸」など、さまざまな鍼灸メニューを用意している施術所もあります。

鍼灸以外の治療法

電極をつなぎ鍼に電気を流す低周波鍼通電療法、身体の深部を温める遠赤外線治療、皮膚を吸引し血液循環を促す吸い玉(カッピング)、テーピング療法、骨盤矯正、マッサージやもみほぐし、運動療法や食事療法など、鍼灸以外のさまざまな方法を取り入れている施術所もあります。

事務作業・雑務

院内の清掃や整理整頓、電話対応、カルテ管理、売上管理など、運営に必要な業務を空き時間や営業後におこないます。

4. 鍼灸師の勤務先

鍼灸師の働く場所は近年増加傾向にあります。鍼灸院などの施術所はもちろんのこと、美容目的のエステサロン、健康目的のスポーツジム、リハビリをおこなう介護施設など多岐にわたります。

鍼灸院・鍼灸接骨院

鍼灸の施術所として真っ先に思い浮かぶ鍼灸院ですが、実は“鍼灸をメインに扱う”鍼灸院と、“鍼灸もおこなう”鍼灸接骨院(または整骨院)の二通りがあります。

骨折や捻挫、肩こりなどの治療をおこなう接骨院に鍼灸治療も加わったのが鍼灸接骨院です。鍼灸師が鍼灸以外の業務を任されることもあるため、「鍼灸治療はどのくらいできるか」をあらかじめ確認しておくと良いでしょう。求人では「鍼灸割合◯割」などと記載されているところもあります。

なお近年では鍼灸接骨院よりも鍼灸院の増加が目立っています。2010年時点で鍼灸院は鍼灸接骨院の60%ほどの数しかありませんでしたが、2020年には85%まで増加しました(参照:厚生労働省「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」)。

美容鍼灸院・エステサロン

近年の美容医療人気を受け、美容鍼をはじめとした美容鍼灸の需要も高まっています。美容鍼灸専門の施術所のほか、美容鍼灸のメニューを取り入れているエステサロンもあります。

女性客が多い店舗では施術者も女性中心のところもありますが、最近では男性の美容意識の高まりから男性客も増えています。休日や仕事終わりにも通えるよう、土日祝日や夜間帯に営業している店舗が多いようです。

介護サービス事業所

鍼灸師は一定の条件*を満たすと機能訓練指導員というリハビリの専門職として勤務が可能です。機能訓練指導員はデイサービスやショートステイ、特別養護老人ホームなどさまざまな介護施設に配置されています。

*鍼灸師以外の機能訓練指導員がいる事業所で6ヶ月以上の実務経験が必要

業務内容としては利用者の健康状態に合わせて機能訓練プログラムを計画・実施し、実施後は評価をおこない次のプログラムへと活かします。デイサービスやショートステイの場合は送迎などの業務が含まれる場合もあります。

日勤が中心のため働きやすい職場ですが、鍼灸治療をおこなう機会はあまり多くありません。

訪問治療院

高齢者や障がい者が暮らす自宅や施設を訪れて施術をおこなう治療院で、在宅医療や在宅介護の増加に伴い需要が高まっています。「訪問鍼灸マッサージ院」を標榜している施術所が多いため、あん摩マッサージ指圧師の資格も持っていると優遇されやすいです。また鍼灸治療だけでなく機能訓練と組み合わせて実施することが一般的です。

基本的に日勤のみのシフト制で、車移動のために運転免許証が必須要件になっているところが多いようです。

病院・診療所

数は多くありませんが鍼灸治療を積極的に取り入れている病院や診療所もあります。大学病院では鍼灸センターを設置し複数の診療科と連携しながら東洋医学的な治療法を導入しているところや、診療所では内科や整形外科、歯科などで導入しているところがあります。

西洋医学に関する知識も求められるため、鍼灸師としてのスキルアップにもつながるでしょう。

インタビュー 歯科医院と連携する鍼灸院での仕事

スポーツジム・フィットネスクラブ

スポーツトレーナーとして鍼灸師を募集しているジムやフィットネスクラブもあります。業務内容としてはトレーニングメニューの作成・指導、食事管理、接客、マシンのメンテナンスなどをおこないます。鍼灸治療がまったくできないことも多いですが、職場によってはパーソナルケアの一貫として鍼灸治療やリハビリを提供しているところもあります。

tips|鍼灸師には開業権がある

医療系の国家資格にはさまざまな種類がありますが、医師や薬剤師のように開業できる職種は実はあまり多くありません。その中で鍼灸師は国家資格を取得すれば独立開業が認められています。

実際にはどこかの施術所に勤めて技術や経験を積んでから独立することが一般的です。いずれ自分で開業したいという人は、どのような場所で学べば必要な知見が得られるかを考えて就職先を選ぶと良いでしょう。

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