

1. ホームヘルパーとは?
ホームヘルパーとは、介護を必要とする高齢者の自宅などを訪問して、日常生活を支援する職種です。多くの場合、所属する訪問介護事業所(訪問介護ステーション)から利用者宅を回りますが、訪問先は個人宅だけでなく、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の場合もあります。
2020年の国勢調査によると、ホームヘルパーの就業者数は約28万人、そのうち約9割が女性でした。介護保険制度が始まった2000年から調査対象となり、2005年までに就業者数が2倍以上に増えたものの、それ以降は30万人前後で横ばいとなっています。

訪問介護員とホームヘルパーの違い
訪問介護員とホームヘルパーで、業務内容に違いはありません。訪問介護員は介護保険法上の正式名称です。一方、ホームヘルパーは一般的な職種の呼び方で、求人などで採用されています。
ホームヘルパーが派遣される介護サービス
介護保険法が定めるサービスにはさまざまな種類がありますが、ホームヘルパーの活躍の場は広く、訪問介護だけでなく、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護など、多くのサービスの一環として訪問介護を実施しています。
なお、障がい者支援の分野においても、障害者総合支援法に基づく居宅介護や重度訪問介護での訪問担当者をホームヘルパーと呼ぶことがあります。
2. ホームヘルパーになるために必要な資格
ホームヘルパーは基本的にひとりで利用者宅を訪問します。さまざまな事態に対してひとりで適切に判断・対処する必要があるため、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格が必要です。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修(以降、初任者研修)は介護の入門資格です。全130時間のカリキュラムを受講したうえで、最後に実施される1時間程度の筆記試験に合格することで初任者研修修了となります。
初任者研修を受講するに当たって、年齢や学歴、実務経験などの要件はありません。初任者研修を修了すると介護に関する基礎的な知識や技術があることの証明となるため、訪問介護にだけでなく、介護の仕事を始めたい人におすすめの資格です。
資格取得にかかる期間は、集中的に講座を受ける週3コースなら1ヶ月半、働きながら土日に通う場合は3〜4ヶ月程度となっています。受講料は3万円〜9万円程度かかります。
介護職員実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
介護職員実務者研修(以降、実務者研修)は初任者研修の上位資格です。全450時間のカリキュラムを受講することで修了となりますが、初任者研修などすでに保有している資格によって免除される科目があります。
実務者研修も受講するための要件はとくにありません。実務者研修ではより質の高い介護サービスを提供するために必要な実践的な知識・技術を学びます。サービス提供責任者(サ責)として働いたり、介護福祉士を受験するために必要になる資格です。
資格取得にかかる期間は保有資格によって異なり、初任者研修修了者で4ヶ月、無資格の場合は6ヶ月程度となっています。受講料も初任者研修修了者で9万円〜20万円程度、無資格の場合は11万円〜22万円程度かかります。
介護福祉士
介護福祉士は介護領域における唯一の国家資格です。年に一度おこなわれる国家試験に合格し、資格登録することで介護福祉士を名乗ることができます。
介護福祉士にはいくつかの受験ルートがありますが、大学や専門学校などで福祉系の専門教育を受けたことがない場合は、3年以上の実務経験と実務者研修の修了が必須です。介護福祉士としてさらに5年以上の実務経験を積めば、ケアマネジャーの受験資格を得られます。
生活援助従事者研修
生活援助従事者研修は2018年に新設された制度で、修了すると調理や掃除、洗濯などの生活援助中心型の利用者宅に限り訪問できるようになります。
全59時間のカリキュラム+30分の筆記試験と、初任者研修の半分以下の時間で資格を取得できることが特徴ですが、初任者研修や実務者研修と比較して実施事業者の数は多くありません。
資格取得のための費用を抑えるには?
一般的に初任者研修や実務者研修を受講するには費用がかかります。ただし、さまざまな助成制度があるため、適切に活用すれば受講料を抑えることが可能です。
(1)受講先の助成制度を利用する
研修を実施する事業者が介護事業をおこなっている場合、研修修了後にそのまま傘下の事業所に就職することで受講料がキャッシュバックされることがあります。対象資格や返金額、勤続要件などは事業者によって異なるため、それぞれの講座をご確認ください。
(2)自治体の助成制度を利用する
人材確保のため、多くの自治体に介護資格を取得するためにかかった費用を助成する制度があります。対象資格や助成金額、勤続要件などは自治体によって異なるため、「(お住まいの自治体名) 介護資格 助成金」で検索してください。
(3)教育訓練給付金の対象講座を選ぶ
雇用保険の被保険者期間が3年以上ある方は教育訓練給付金を活用できます。教育訓練給付金は、厚生労働省が指定する資格取得講座を受講・修了した場合に、かかった費用に補助を受けられる雇用保険の給付の一種です。給付を受けるには、受講前に受給資格を満たしているかなどの要件を確認する必要があります。
>詳細:厚生労働省|教育訓練給付金
(4)公的職業訓練(ハロートレーニング)を活用する
失業中の方は公的職業訓練(ハロートレーニング)の活用も考えられます。公的職業訓練は要件を満たせば、受講費が原則無料(テキスト代などは自己負担)となるうえ、受講中の所得補償として失業手当や職業訓練手当を受け取ることができます。
(5)資格取得支援制度のある事業所で働く
働きながら資格取得を目指したい場合は、従業員の資格取得支援をおこなっている事業所を探しましょう。費用の一部または全額を補助してくれたり、通学日に休めるようシフトを調整してくれたりします。支援内容は事業所によって異なるため、面接時などに直接ご確認ください。


