

1.助産師とは
助産師とは、その名のとおり「助産行為」の専門職です。英語では「女性(wife)と共に(mid)」という意味合いから「Midwife(ミッドワイフ)」と呼ばれます。日本の法律では、女性のみが就ける職業になっていますが、海外では男性の助産師がいる国もあります。
■助産師と産婆はどう違う?
助産師はかつて「産婆(さんば)」と呼ばれていました。1948年の「保健婦助産婦看護婦法(保助看法)※現在の保健師助産師看護師法」の公布により「助産婦」と称され、2002年の法律改訂に伴い「助産師」へと名称が変わって現在にいたります。
2.助産師の働く場所・仕事内容
2-1.おもな職場は病院や診療所
厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例」によると、2020年3月末時点で助産師として就業している人は3万8,063人です。
働いている場所は「病院」が23,109人(60.7%)、「診療所」が8,770人(23.0%)。合わせて約84%となり、ほとんどの助産師が病院や診療所で働いていることがわかります。

厚生労働省|令和4年度衛生行政報告例より作成
2-2.助産師のおもな仕事内容
「保健師助産師看護師法」では、助産師の役割を以下のように定義しています。
厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子※「じょく婦」とは、出産して間もない女性を指します。
助産師はお産の支援のほか、生活全般において、妊婦と赤ちゃんの保健指導の役割を担います。産婦人科の医師のように、麻酔を打ったり、手術をしたりする医療行為はできません。ここでは、助産師の仕事を「出産前」「出産時」「出産後」に分けてご紹介します。
<出産前>
食事や運動に関する「生活指導」や「健康指導」をおこないます。また「産前教育」を通して母親・父親になる心構えを伝えたり、出産の基礎知識(陣痛の周期、出産から入退院までの流れなど)を教えたり、妊婦の相談に乗って不安を取り除いたりもします。
<出産時>
お産を助け、赤ちゃんを取り上げる「分娩介助」をおこないます。「病院・診療所」の一般的なお産では、医師1人、直接介助をおこなう助産師1人、赤ちゃんを受け取る助産師(または看護師)1人の3人体制でおこないます。
直接介助をする助産師は、母体の状態を見て赤ちゃんの頭をおさえたり、医師に処置をうながしたりして、お産の進行をコントロールする役割を担います。
<出産後>
入院中の妊婦の体調管理、母乳指導、乳児の保健指導などをおこないます。また、退院後の生活や育児に関するアドバイスなどもおこないます。
2-3.「病院・診療所」と「助産院」の違いは?
産婦人科医のいない「助産所(助産院)」で分娩介助をおこなえるのは、妊婦と赤ちゃんの健康状態に問題がない「正常分娩」の場合に限ります。
母子の状態に異常がみられたり、帝王切開などの処置が必要な「異常分娩」になる場合は、必ず医師の指示のもとに「分娩介助」がおこなわれなければいけません。
助産所(助産院)での分娩中に異常が生じた場合は、速やかに近隣の病院やクリニックに連絡して、連携を取る必要があります。

