
1.MSとは
MS(Marketing Specialist)とは医薬品卸売会社の営業職を指します。日本語では、医薬品卸販売担当者と訳され、医薬品の流通と情報提供を担います。
MSが取り扱う医薬品は以下のように分類され、消費者への販売方法も異なります。
医薬品の分類と販売方法
| 医薬品の分類 | 販売方法 | ||
|---|---|---|---|
| 薬局医薬品 | 医療用医薬品 | 処方箋医薬品 | 対面販売 |
| 処方箋医薬品以外の医療用医薬品 | |||
| 薬局製造販売医薬品 | ネット販売可 (毒薬・劇薬を除く) | ||
| OTC医薬品 | 要指導医薬品 | ダイレクトOTC・スイッチ直後品目、毒薬、劇薬 | 対面販売・一部ネット販売可* |
| 一般用医薬品 | 第1類医薬品 | ネット販売可 | |
| 指定第2類医薬品 | |||
| 第2類医薬品 | |||
| 第3類医薬品 |
医療用医薬品は、原則として医師の処方箋にもとづき処方される医薬品です。9割以上は製薬企業から医薬品卸売会社を経由して医療機関や薬局に流通し、残りは製薬企業から直接医療機関や薬局に流通します。
OTC医薬品は医師の処方箋がなくても薬局や一部はインターネットでも購入できる医薬品です。副作用の程度により要指導医薬品と一般用医薬品(第1類、指定第2類、第2類、第3類医薬品)に分類できます。一般用医薬品の半分は製薬企業から医薬品卸売会社を経由して薬局・ドラッグストアに流通し、残り半分は製薬企業から直接薬局・薬店に流通します。

2.MSの仕事内容・働く場所
2-1.仕事内容
MSの仕事は、製薬企業から仕入れた医薬品や医療用材料、医療機器などの製品を医療機関や調剤薬局などに販売することです。また、中立的な立場から情報提供をおこない、それぞれのニーズに合わせた製品を提案することも大事な役割です。
そのため、メーカー別の製品の特徴だけではなく、医療制度や疾患に関する幅広い知識が必要となります。また、MSは医療機関や薬局と販売価格を交渉する立場でもあるため、原価や利益に関する知識も求められます。
2-2.MRとの違い
MSとMR(医薬情報担当者)では、所属する企業の業種が異なります。MSはMarketing Specialistの略で医薬品卸売会社の営業職。MRはMedical Representativesの略で、製薬企業の営業職です。
前者はマーケティング(Marketing)の観点から医薬品の流通に携わるもの、後者はメディカル(Medical)の観点から医薬情報の提供に携わるものと、意味合いが異なります。
さらに、業務上で明確に異なる点は、医薬品の価格決定権の有無です。
MRは医療機関や調剤薬局に対して、自社が製造する医薬品に関する情報を提供します。あくまで情報の伝達と収集が主な役割となるため、価格の交渉および決定はおこないません。
一方、MSは医療機関や調剤薬局に対して、自社が取り扱う医療品・医薬品を安定的に供給することが主な役割となるため、価格の交渉および決定もおこないます。
また、MRは自社の製品の特徴をMSに伝えたり、MSは営業活動から得た現場の声をMRにフィードバックしたりと、協力関係にあります。そのため、MRとMSで製品に関する打ち合わせをしたり、担当するエリア・施設への同行訪問をおこなうこともあります。
| MS(医薬品卸販売担当者) | MR(医薬情報担当者) | |
|---|---|---|
| 働く場所 |
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| 取扱品目 |
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| 価格交渉 |
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| 必要な知識 |
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▼MSとMRの違いについてはこちらの記事もご覧ください
医療に関わる営業職「MR」と「MS」の違いってなに?
2-3.医薬品卸売会社の数・従業員規模
厚生労働省の「医薬品・医療機器産業実態調査」によると、日本国内に医薬品卸売会社は約100社あります。
規模別のデータを確認すると、売上高50億円未満、従業員数100人以下の企業が約半数を占めている一方、売上高1,000億円以上、従業員数1,001人以上の企業も一定割合あることがわかります。


