7.言語聴覚士のやりがい
言語聴覚士の仕事は、「話す」「聞く」「食べる」など、人間が生きていくうえでも必須とされる機能の回復を支援します。
「患者さんが少しづつ喋られるようになってくる」「ご飯を上手に飲み込めるようなる」など患者さんの社会復帰をサポートすることで、「人の役に立った」と実感することが多いようです。
また社会福祉法人で地域医療に関わってきた、言語聴覚士のEさんは過去のインタビューで次のように語っていました。
—病院から飛び出し、地域に密着しながら働くことで得られたものは?専門性にとらわれることなく、『障がいを持ってる人がどんな想いで生活してるのか』を学べたことが大きいですね。
あとは、社会資源にはどんなものがあるのかを知れたことも。病院ではそういった福祉サービスなどを耳にすることがあっても実態がわからないんですよね。実際に現場に出て見聞きしたことで、言語聴覚士としても実になる部分は多かったです。
【転職者インタビュー】言語聴覚士9年目30歳/転職2回より抜粋
8.最後に
言語聴覚士の約6割が医療機関で働いており、医療機関以外で働く言語聴覚士は少ないのが現状です。しかし、医療機関以外での活躍も十分に期待されており、2006年には言語聴覚士が実施する訪問リハビリにも介護保険が適用されるようになりました。
内閣府の発表した平成25年版 障害者白書によると、聴覚・言語障害者の数は幼児から高齢者まで含めると約36万人。認知症の方などを含めると、さらに多くの人たちが言語聴覚士を必要としていることになります。
これに対し、言語聴覚士の数は2020年時点で約3.4万人。あくまでも有資格者の数なので、実際に言語聴覚士として働いている人はこの数字よりも少なくなります。
実際に四病院団体協議会が2016年におこなった理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査では、「患者の状況に応じ、必要な人員(言語聴覚士)は確保できているか」というアンケートに対して、「いいえ」が37.5%、「どちらともいえない」が21.2%という結果が出ており、十分なリハビリを提供できていない病院が一定数あることがわかります。

このように言語聴覚士にはまだまだ多くの需要があり、今後、言語聴覚士を目指す人がさらに増えて、幼児から高齢者まで幅広い年代の人たちを様々なフィールドで支えていくことが期待されます。
<言語聴覚士の転職体験談もチェック!!>
【転職者インタビュー】言語聴覚士9年目30歳/転職2回
参考文献
中島匡子『言語聴覚士になるには』ぺりかん社

