本稿では、沼田さんへのインタビューを通して、発達障害を抱えることの生きづらさに迫る。

◆中学2年生で発達障害の診断を受けた
――沼田さんが件の栄養士専門学校に入学した経緯を教えてください。沼田理沙子(以下、沼田):私は北海道で生まれ、高校卒業までを過ごしました。その後、大学進学に伴って上京しました。卒業後は、一般企業に就職をして5年ほど勤務しました。中学2年生で発達障害の診断を受けていた私は、精緻な作業が肌に合わずにミスが多く、27歳くらいで退職。28歳までアルバイトで食いつなぎました。29歳のころ、東京都専門人材育成訓練という、都から都内にある専門学校などに委託して受講料を無料で職業訓練をしてくれる制度を利用して、専門学校に入学しました。
――中学生の頃に発達障害と診断されたとのことですが、自覚はあったのでしょうか。
沼田:そうですね。普通に過ごしていても、クラスでやや浮いてしまうのは感じていました。しかし少なくとも友だちはできて、その存在が支えとなってなんとか学生生活を乗り切ったと思います。とはいえ結局、不登校気味になってしまいましたが。
◆教員や同級生の反応は…
――栄養士専門学校に入学してからも、ご本人は普通に過ごしているのに浮いてしまうことは変わりませんか。沼田:変わらないですね。教員から、授業中に「みんなのモチベーションが下がることをしないで」と言われたことがあります。また、調理実習中に「あなたが嫌われないのはみんなが優しいから」と班員の前で言われ、かなりのストレスを感じました。私は抑うつ病も患っていて、慢性的な疲れが取れず、周囲からみればやや怠けているようにも見えたのかもしれません。
――同級生との関係性については、どうですか。
沼田:専門学校に入学する人は、私よりも10歳近く年下です。けれどもそのなかの数名が入学早々から私を指さして笑ったり、悪口を言ったりする状態が続きました。その数名の学生は私以外の学生ともトラブルを起こしていて、問題がある学生だったとは思います。なので、なおさら、先生が加害生徒に注意をするべきだと思いました。

