◆「悪の帝国」再来?大谷率いるドジャースの圧倒的戦力
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潤沢な資金を武器に大谷翔平を筆頭としたスター選手をそろえ、「悪の帝国」と呼ばれることもあるドジャース。四半世紀前のヤンキースもまた、金満補強を繰り返し、「悪の帝国」と呼ばれ、全米にアンチも増殖した。
黄金時代を築いた当時のヤンキースには、大谷翔平のような絶対的な存在がいなかった。実際に、連覇した3年間にMVPとサイ・ヤング賞に選ばれたヤンキースの選手は皆無。その代わり「コア4」と呼ばれる生え抜きの4選手がチームの主力として躍動した。
コア4の代表格は遊撃手のデレク・ジーターだった。俊足・好打・好守と三拍子そろった名プレーヤーだったが、何より光ったのは、ポストシーズンでの勝負強さ。まさに“勝つ野球”を体現し、“ザ・キャプテン”という呼び名にふさわしい選手だった。
他に捕手のホルヘ・ポサダ、左腕のアンディ・ペティット、不動の守護神マリアノ・リベラがほぼ同時期にヤンキースを支えた。
また、冷静沈着なジョー・トーリ監督の采配も大人びたチームにフィット。1996年の優勝を含めて5年間で4度の世界一は、20世紀最後の快挙だったといえるだろう。
今のドジャースは、当時のヤンキースに匹敵する補強を見せている。来季は26年ぶりのワールドシリーズ3連覇、さらにその先には1949~53年にやはりヤンキースが達成したメジャー記録の5連覇も視界に入ってくるはずだ。
◆連覇記録を伸ばすには「世代交代」がカギ
ただし、ドジャースが連覇の記録を伸ばすためには、チーム内の新陳代謝が必要不可欠。野球統計サイト『Baseball Reference』によると、打数なども加味した今季のドジャース野手陣の平均年齢は30.7歳。これはフィリーズの30.3歳を上回りメジャー最年長だった。複数年契約を結んでいるフレディ・フリーマン(35歳)やムーキー・ベッツ(32歳)など主力の野手は軒並み30代に突入しており、年齢的にもパフォーマンスは下ることがあっても上がることは考えにくい。1~2年以内に相当な血の入れ替えを敢行しなければ、世代交代に失敗する可能性もある。

