◆ドライブレコーダーには被害者の怒号も…

それは、初公判での証拠調べの時だ。証拠として、中央車線に停まっていたタクシーのドライブレコーダー映像が提出され、法廷内の大型モニターに映し出された。
そのドラレコ映像には、右車線に赤信号で停まっているAの車と、その後ろに続いてBさんとCさんの車が停車。停車してすぐ、BさんがAの車の運転席側にまわってドアをガチャガチャ、「降りろ、バカヤロー」という声が聞こえた。数秒後、Cさんも運転席側にまわってドアノブを引いていた。
なお、ドラレコ映像の最後には、Bさんをボンネットに乗せたAの車が逃げ去る様子も。タクシーの車内から「なにアイツ、気狂ってんの」という男の声が聞こえ、まさに映画のワンシーンのようだった。
◆Cさんは被告人を「薬物を使った人なのかと…」
第2回・第3回公判では、検察側が請求したBさんとCさん、目撃者Eさんの証人尋問が行われた。BさんはAに対して「降りろ、とは言っていない」と証言。さらには、事故があったことを説明して車から降りるように説得していたという。
「私は、日本語で『事故が起きましたので降りて下さい』と言いました」
Cさんも「降りろ」などと命令する言葉を発していないといい、Aは横に手をふって降りないというジェスチャーをしていたと語る。事故当時はAの不審な挙動から、「私は、お酒を飲んだ人なのか、薬物を使った人なのだろうと思いました」とも振り返った。
これに反して、Aらの隣の車線で事件を目撃していたEさんは、当時のBさんの様子を「少し怒ったような口調だったと思います」と証言。
終始怒っている様子ではなかったようだが、「窓を開けろ」と大きな声を出していたこともあったとも述べた。

