いつまでも輝く女性に ranune
女子高生に「大丈夫ですか?」と心配され…まっすぐ歩けない・走れない・自転車で倒れる70代「心と現実の残酷なギャップ」

女子高生に「大丈夫ですか?」と心配され…まっすぐ歩けない・走れない・自転車で倒れる70代「心と現実の残酷なギャップ」

「まっすぐ歩こうとしても、気づいたら蛇行してしまって……」「体だけは頑丈なのが自慢だったのに、すっかり自信がなくなった」急激に加速する体の衰えに心が追い付けない――。それも老人の逃れられないリアルだ。シニア世代の勢古浩爾氏(執筆当時77歳)の現代の老人に対する考察とは? 著書『おれは老人? 平成・令和の“新じいさん”出現!』(清流出版)の一部を抜粋・再編集してご紹介しよう。

体力には自信があったのに

子どもの頃から運動は好きだった。小学生ではドッジボール、剣道、野球、中学でバレーボールがわりと得意だった(が、足は遅かった。なんだそれ?)。

18歳からほぼ10年間、空手道場に通った。準備運動から技全般を覚え、体を動かすことについては自信がつき、そのイメージが70を超えたいまになっても、抜けきらないのである。体力は40代くらいに思っているのだ。

しかし若いもんには負けん、とは思わない。年を取ると一般に、老人は若いものをライバル視して、若いもんにはまだ負けんよ、といいたがる。もうその時点で負けているのだ。若いもんは年寄りなど眼中にないのである。

わたしは50代頃まで体力には自信があった。7月生まれだから、夏の暑さには強いんだと、つまらんことを自慢していた。暑さに弱音を吐くやつがいると、夏だから暑いのはあたりまえじゃないかと憎まれ口をきいた。60代に入っても、真夏の昼下がり、近所の公園のベンチに何時間もいて、体を焼いていたりしたものだが、いったいなにを考えていたのか。

よく熱中症にならなかったものだと思っていたら、10年ほどまえ、奈良に行ったときに、法隆寺行きのバス停でクラッとなり、倒れそうになった。はっきりしないが、たぶん熱中症だったのだろう。水を飲み、ベンチで休んで事なきをえた。それ以来、体力に関して強がりをいったり、意地をはったりはしないようにした。

60代の後半あたりから、めっきり暑さに弱くなった。冷房がないと耐えられなくなったのである。考えてみれば、7月生まれもへちまもない。ただ強がっていただけで、年を取るにつれ、その強がりも意地もなくなったのである。寒さにはもともと弱い。すきま風みたいな薄ら寒いのもだめである。

不調はあの日から始まった

早いもので2018年10月に脳梗塞になってから、もう6年が過ぎた。数えてみれば、71歳のときだ。さいわい、ほとんど大きな後遺症はなかった。

しかし、現在、体に関する小さな不調がいくつかある。そのすべてが脳梗塞の後遺症だとは思っていない。たとえば、まっすぐ歩けずたまにちょっと蛇行する。体のバランスが悪く、すぐ左右どちらかに傾く(要するに片足立ちがだめ)。喉になにかが引っかかる。などなどである。

その他、全体的に体のベースが弱くなった気がする。むろん、筋肉の衰えによる体幹のぐらつきということがあるだろう。平衡感覚の失調があるのかもしれない。だから、ゆで太郎(ソバ屋のチェーン店)のように、丼を乗せたトレイをもって席にまで歩く店が苦手だ(あそこはまた丼が滑りやすいのだ)。 

それに、もう全力疾走ができない。腰を落として、歩幅の狭い、じいさん走りしかできない。階段を降りるときも、念のために手すりをつかむ。バランスを崩して、転がり落ちることだけは避けたい。それらのすべてを含めて、わたしの体調不調元年は2018年だと思っている。

いずれにせよ、体だけは頑丈なのが自慢だったが、それ以降すっかり自信がなくなった。だいたいまっすぐ歩けないなど、だめでしょ。普通の人には、まっすぐ歩けないことなど、想像もつかないと思う。わたしもこんな状態が人間にあるとは、夢にも思わなかったのである。

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