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「自分の浅はかさを今でも強く悔いる」コロナワクチン接種後の死亡報告2,295件、医師たちのドキュメンタリーが問う“科学の本質”

「自分の浅はかさを今でも強く悔いる」コロナワクチン接種後の死亡報告2,295件、医師たちのドキュメンタリーが問う“科学の本質”

◆「感染・発症」予防効果から「重症化」予防効果へ

――厚生労働省発表のワクチン接種の根拠は2022年の夏あたりから、「感染・発症予防効果」から「重症化予防効果」にシフトしています。

大西:2021年末に2回目接種が終わる頃には1000件を超える死亡報告がすでにありました。ただ同時に、PCR検査による陽性者数が接種者において減るなど、2回目摂取までの時点では「コロナワクチンが効いている」可能性を示すデータも、厚労省は得ていたと考えられます。

ただし、その後に続くブースター接種、つまり3回目接種以降はコロナワクチンを打ったところで、そんなに感染予防効果はないことが段々と明らかになってきました。その頃から「入院予防効果」や「重症化予防効果」に重心が移った。つまり、「感染予防」「発症予防」の効果について明言せずとも、「重症化予防」「入院予防」効果はあると。24年の9月時点でも厚労大臣は明言していて、今でもその姿勢は崩していません。重症化予防は、コロナワクチンの有効性の「最後の砦」だと感じます。

――定期的に厚労大臣の会見を聞いている記者の人たちは政府の発表の表現が変わったことには気が付かなかったのでしょうか。

大西:批判的意識、懐疑の精神を持って記者会見を取材している記者は限られるのかもしれません。

フリーランスの記者たちは、毎回、会見で鋭い問いを投げかけており、その様子はYoutubeなどでは見ることができますが、それがテレビや新聞で報じられることは、ほとんど全く無いというのが現状です。

「なぜ大手メディアがワクチンの負の側面に取り上げないのか」については、現実にはとても複雑なレイヤーがいくつもあると思いますが、検証が必要です。映画内でも触れられていますが、報道機関におけるヒエラルキーが障害になっているということは確実なのではないでしょうか。現場の記者が何か異変に気づいても、ニュースとして世の中に伝えられるまでには、いくつかの段階を超えなければなりません。一度二度跳ね返されるうちに、「どうせ書いても通らない。そんな空気が醸成されていった」とは実際にある記者から聞いた言葉です。

組織の上層部にとっても、「国が進めている方針が正しい」としておく方が、波風が立たないし、経営リスクも小さいと感じるのではないでしょうか。


◆医師を突き動かすもの

――福島医師は弁護士や他の研究者と協力しながら、コロナワクチン問題の解決について精力的に取り組んでいます。先日は、福島医師らが提訴したコロナワクチン購入契約書の開示請求に対する厚労省の対応について、第一審の訴訟で原告勝訴の判決が出ました。東京地裁は厚労省の不開示を取り消す判断をしたということですね。福島医師らは、他にも政府が保有している各種ビッグデータについて情報公開請求を行い、不開示決定のあったものについては開示を求めて行政訴訟を起こしています。この原動力は何だと思いますか。

大西:医師・科学者としての矜持、責任感に尽きると思います。福島医師はとても人間味のあふれる方です。不条理に対して激しく憤ることもあれば、誰かの痛みに対して温かい共感を示されることもある。大切な家族をワクチン接種後に亡くされた遺族の悲しみに直に接されたことも大きいと思いますが、結局は、ご自分の信念に対して嘘をつけないのでしょう。

また、福島医師は長年日本の医学研究におけるリーダーの一人として広範な領域で数々の実績を残されてきた。日本人の健康に貢献してきたという、自負があるのだろうと想像します。ところが、2021年以降の平均寿命の低下を知った。福島医師は、コロナワクチンを盲信すべきでないと、当初からマスコミや内閣補佐官、前任の厚労大臣にも直接電話をして警告していたといいますが、何も反応はなかった。福島医師も愕然としたはずです。だから、医療イノベーション支援という本業の傍で、ワクチン問題の解決に自ら動くしかないと考えられたのだと思います。

現役の大学教授ではないし、どこかの組織に属しているわけでもない。だからこそ、何にも忖度せず自由に主張できるのではないでしょうか。

――最後に、メッセージをお願いします。

大西:映画の公開後、受け止め切れないほどの評価や感想をいただいており、正直驚いています。特に、コロナワクチンについての0か100かの答えではなく、考えるきっかけのための映画を作ったつもりだったので、そのように多くの方々に受け止められているのを見ると、作るべきものを作れたのかもしれないと、少しホッとしています。

映画のパンフレットにレビューのご寄稿を頂いた國部克彦神戸大学教授の著書『ワクチンの境界』(アメージング出版)では、「何かを軽々しく信じること自体が悪である」と論考されています。

何か新しいことに直面した時、立ち止まって考えてみること。唯一の正解を見つけて一足飛びに信じるのではなく、常に現実を疑う目をもつこと。その重要性は何度でも繰り返して語られるべきだと思います。

この映画はフラットな立場から、事実をもとに、コロナワクチンをめぐる現実の複雑さを描きました。ぜひ多くの方々にご覧いただくことを願っています。<取材・文/熊野雅恵>

【熊野雅恵】
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。
配信元: 日刊SPA!

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