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トヨタを猛追するBYD、2030年には販売台数「1000万台」で並ぶ?…日本の“絶対王者”が揺らぐ可能性

トヨタを猛追するBYD、2030年には販売台数「1000万台」で並ぶ?…日本の“絶対王者”が揺らぐ可能性

航続距離や機能によって細分化する「フルライン戦略」

BYDは現在、「王朝」シリーズや「海洋」シリーズを展開するBYDブランド、高価格帯の「騰勢」ブランドとオフロードブランド「方程豹」、超高級車「仰望」ブランドを展開している。

Pro(第1世代)、PLUS(第2世代)、L(第3世代)、M(第4世代)の順で展開しており、多様な車種をそろえ、常に新モデルや新技術を投入している【図表1】。

出所:公開資料より筆者作成 [図表1]2021年以降に投入した製品ラインアップ 出所:公開資料より筆者作成

主力の海洋シリーズには、低価格のハッチバック「シーガル」、大衆向けコンパクトカー「ドルフィン」、中高級セダン「シール」、SUV「シーライオン07」があり、王朝シリーズには大衆向けセダン「秦PLUS」とSUV「元PLUS」、中価格SUV「宋PLUS」、中高級セダン「漢」「宋L」がある。

こうしてBYDは航続距離や搭載する機能によって商品を分け、フルライン戦略で商品投入をし、特に売れ筋の価格帯をきめ細かに攻める。

一方、王朝シリーズと海洋シリーズなど自社同士でのシェアの奪い合いも起こりかねず、合理的なラインアップの整理が必要となる。テスラのイーロン・マスクCEOは2024年の決算会議で、「貿易障壁が設けられなければ、中国自動車メーカーが他国の競合相手を潰し、世界市場で大きな成功を収める」と中国メーカーの強さを指摘した。

PHVを含むBYD販売台数は2023年にテスラを抜き、2025年にはEVだけでも世界の首位に立つ。自動車業界の後発組が、競合他社とは異なる技術路線で生産性や効率性の向上に注力したことは、BYDとテスラの成長の共通点であろう。

ここに来てトヨタにとってBYDは、中国での合弁相手であると同時に、世界で手ごわいライバルになりそうだ。

「安さ」から「ハイコスパ」へ…難所EU市場も“作戦勝ち”

BYDは1998年に初の海外拠点をオランダに設立し、欧州向け輸出を開始した。1999年には米国で電池と電子部品事業を開始した。

当時、李柯執行副総裁は責任者として、王氏と二人三脚でグローバル展開を模索していた。欧米市場で人材の確保、ロビー活動、商習慣の習得など事業のノウハウを蓄積し、2013年から米国カリフォルニア州ロングビーチ向けの電気バスの供給をはじめ、路線バスやタクシーなどB2B事業を中心にグローバルで電動車の輸出を開始した。

BYDは、商用車のほか、リチウムイオン電池、電子部品、スマホも製造している。こうした海外事業は乗用車の海外展開の足がかりになる。2021年には「乗用車海外戦略」を打ち出し、サプライチェーンの競争力を生かし、コストパフォーマンスで世界競争に攻勢を仕掛ける一方、各国の優遇政策に対応し、海外生産にも積極的に取り組んでいる。

中国国内より海外ビジネスの利益率が高いため、BYDは積極的に各国政府や地場企業と提携し、販売ネットワークの拡大やブランド力の向上を図っている。

購買力と消費志向や、政府補助金などマーケットを細分化しながら、世界戦略車の「ATTO3」、「シール」「ドルフィン」「シーライオン」など海洋シリーズの人気モデルを投入し、異なるユーザー層に対応した海外戦略をとっている。

現地ブランドが強いEU市場には、“高品質×高級感”で突破

ASEAN、中南米、中東、アフリカなど、現地のブランドが弱い市場に率先して進出し、コストパフォーマンスの良い中低価格車を投入している。

一方、購買力の高いEU市場は、ドイツやフランスブランドが圧倒的に強いため、中国ブランドが足場を築くのは容易ではない。

BYDは2021年に電動化で先行するノルウェーに進出し、2022年からハイエンド車を中心にEU各国への本格展開を開始した。またブランド認知度の向上を図るため、ユーロ2024の公式パートナーとなり、試合会場や公式ファンゾーンでモデル車の展示を通じて、現地消費者にアピールした。

BYDはこれまでEUの19カ国に進出し、250店舗以上を展開している。独メルセデス・ベンツと合弁で立ち上げたブランド「騰勢」も欧州市場に投入した。

BYD欧州事業の責任者、舒酉星氏は「優れた上質な装備を標準装備するとともに、欧州消費者が購入しやすい価格に設定した」と語った。

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