
塾や習い事に追われる日々。わが子の将来を思い、多くの情報を与え、たくさんの経験をさせようとすることが、かえって子どもの「本当の賢さ」を奪っているとしたら……? 本記事では、船津洋氏の著書『「地頭力」を鍛える子育て: 自ら学び、考える力がアップする確かな方法』(大和出版)より、「地頭力」の土台となる「認知力(分かる力)」、そしてそれをコントロールする「メタ認知力(気づく力)」 に焦点を当て、自ら考え学ぶ力を育む本質に迫ります。
地頭力の核「メタ認知力(気づく力)」
認知と非認知は並列の関係にありますが、メタ認知力は認知力・非認知力を監視する、上位の立場にあります。ここでは、自分の状態を理解し、評価し、さらに調整する機能を果たす、メタ認知力(気づく力)についてご説明していきます。
本記事の地頭力とは、「高度な認知力と、適度に高い非認知力、そしてそれらを監視し管理するメタ認知力の総体」です。心理学においては、メタ認知力は、認知や非認知を覆う概念として捉えられているようです。メタ認知力はとても重要な認知力で、結論から申し上げると、メタ認知力が弱いと、認知も非認知もうまく機能しません。
また、メタ認知力は、認知領域より非認知領域に対して大きな影響を与えます。
気づく力とは、自分の認知活動(考え方・理解・記憶・判断など)と、非認知活動(やりたくない、面倒だ、自分が良ければいい、どうせ人は見ていない)を観察し、評価し、調整する能力のことです。
平たく言えば、自分が考えたこと、自分の能力、自分の対外的評価などをモニターして、おかしなところがないか、気づく能力です。たとえば、テストを受けるとき、あなたはどのような順番で問題を解きますか。
パターン1:まずは全体に目を通し、解けそうな問題から解いていく
パターン2:一問目から順に解いていく
こうした判断や行動を管理し調整するのは、まさにメタ認知力のなせる技です。ちなみに、パターン1のほうが高得点になる可能性が高くなります。
認知領域におけるメタ認知力の効果の例は、
「忘れるかもしれないから見返しておこう」
「いけない、いけない。ぼんやりしていた」
「このやり方であっているか? 他に効率のいい方法はないか」
「ちゃんと理解できているか? 理解した気になっているだけではないか?」
という具合に、自分の認知を疑う思考に至ります。
非認知領域においては、
「自分がやらないと誰がやる」
「困っている人がいるから助けよう」
「さぼっている場合ではない」
などなど、自分の行動や思考をモニターして気づくことができます。このメタ認知力が未発達だと、学習にも多大な影響が出ます。
メタ認知が未発達のケース
・論理的な学習予定を立てられず、気まぐれに取り組む
・勉強中、次から次へと思考がうつり、集中できない
・プリントをがむしゃらにこなす勉強法しかできない
このような非効率的な学習で時間を無駄に費やしてしまいます。幼児や小学校低学年生はまだメタ認知力が弱いので、自分の回答を見返したり、疑ったりすることはトレーニングしないとできません。周囲からの指導を受けたり、自分でこなしたりしていくうちに、思考や行動を俯瞰することができるようになるのです。
当然、自分でその能力を発揮し始める子もいますが、確実にそうなれるように、教育の場合には、親としてメタ認知力を育てていくことを前提とする必要があります。
(書籍中略)
地頭力をデザインする
子どもたちは本来、もっと簡単に、もっと賢く育つことができるということです。でも、それを阻んでいるのが今の社会なのです。
都心で暮らす共働き夫婦の子どもをはじめとし、現代の子育て世代は、さまざまな情報に振り回されすぎています。学校が終わると塾などの習い事、家に帰れば宿題や課題をこなす。あるご家庭では、その後また別の塾に行かせる、といったところもありました。また、週末も、塾やその他の習い事が子どもたちを待っています。
もちろん、それだけ勉強させられれば、読み書きはできるでしょうし、計算問題も解けるようになるでしょう。その延長上に、偏差値の高い中学・高校、そして、大学があるのかもしれません。
すべてはわが子の将来に思いを馳せてのことでしょう。それだけつめ込めば、認知力はひょっとすると高い子が育つかもしれません。ですが、社会に出れば言うまでもなく、非認知力とメタ認知力が強く求められることになります。それはつめ込み教育では得られない能力なのです。
一方で、のんびり暮らしながら、塾にも行かず、予備校にも行かせていない。わずかな時間のみを学習や読書に回し、高校2年の終わりまで部活に明け暮れる。それでも超難関大学に合格する子たちもたくさんいます。両者の違いは何なのでしょうか。
行き着いたその答えが、地頭力だったのです。
