
『ジュディ 虹の彼方に』© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
芸術の秋、各地ではコンサートや合唱コンクールなどが開催されています。そこで今週の映画コラムでは、「歌」に注目。著名な歌手の映画やドキュメンタリーは数多くあるので、今回は時代を象徴する女性歌手の伝記映画に絞って3作品を紹介します。
47歳で散ったミュージカルスターをレネー・ゼルウィガーが熱演
『ジュディ 虹の彼方に』
『ジュディ 虹の彼方に』© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
47歳で散った伝説のミュージカル女優にして歌手のジュディ・ガーランド。ハリウッド黄金期を象徴する映画『オズの魔法使』で主人公ドロシーを演じ、17歳にして一躍スターとなったジュディは、数々のヒット作に出演し栄光をつかんだ一方、少女の頃からショービジネスの裏側で大人たちの金儲けの道具として壮絶な経験を強いられてきました。スリムな体型をキープし、眠くならずに何時間でも働けるようにと薬漬けにされ、ハラスメントにあい、その結果、不眠症や不安神経症に生涯悩まされることになります。
『ジュディ 虹の彼方に』© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
1968年の冬、ジュディは単身でロンドンの舞台に立っていました。この頃の彼女は、度重なる遅刻や無断欠勤のために映画のオファーも途絶えて生計も苦しい状況でしたが、巡業の舞台に立てば華やかなパフォーマンスで観客を魅了していました。
しかし、キャリアの暗転に加えて、幼い子どもたちの心が母親である自分から離れていく恐れもあり、舞台で失態をおかしてしまいます。「もう終わった」と誰もが思うような状況でも、起死回生にかけたジュディは、懇願して立ったステージで、命を燃やし尽くすかのようなパフォーマンスを披露します。彼女が亡くなったのは、そのわずか半年後でした。
『ジュディ 虹の彼方に』© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
ジュディを演じたのは、レネー・ゼルウィガー。『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで知られるレネーですが、かつてミュージカル映画『シカゴ』でゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞するなど歌唱力はお墨付き。とはいえ、ハリウッドを代表するミュージカル女優を演じるということで相当なレッスンを重ねたそうですが、見事に自身で歌いきっています。
『ジュディ 虹の彼方に』© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
ラストシーンで披露される名曲『オーバー・ザ・レインボー』は、舞台のスポットライトの下でしか生きられないジュディの輝きと悲しい宿命が伝わってくるような圧巻の歌唱です。レネーは本作でアカデミー賞主演女優賞に輝きました。

『ジュディ 虹の彼方に』
2019年製作
Blu-ray ¥5,280/DVD ¥4,180
※Blu-ray、DVDともに<廉価版>もあり
発売・販売元:ギャガ
© Pathé Productions Limited And British Broadcasting Corporation 2019
美声と美貌を誇るオペラ歌手のドラマティックな人生をひもとく
『私は、マリア・カラス』
『私は、マリア・カラス』© 2017 - Eléphant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinéma
唯一無二の美声と歌唱力、役柄になりきれる表現力、そしてエキゾチックな美貌で、観衆を虜にしたオペラ歌手、マリア・カラス。歌の才能だけでなく、往年のスターらしくスキャンダルもまた彼女の名声を広めることに一役買っていました。
父親くらい年の離れた男性との結婚、歌劇場の支配人との対立、そしてギリシャの大富豪オナシスとの大恋愛と突然の悲恋。オナシスは、元ケネディ大統領夫人のジャッキーと結婚しますが、そのことをマリアは新聞で知ったのでした。
そんなマリア・カラスの人生は幾度か映画化されていますが、彼女に魅了された映像作家のトム・ヴォルフが未完の自叙伝やプライベートな手紙、未公開映像などを入手し、新たな作品として映画化されました。
『私は、マリア・カラス』© 2017 - Eléphant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinéma
歌声も人生もドラマティックで、圧倒的な存在感を放つマリア・カラスに見とれてしまう本作。失恋に心を痛めるひとりの女性であり、バッシングにあっても我が道を行く強い信念を持った女性でもあり、さまざまな面を持った“20世紀のディーヴァ”の真実に心打たれます。

『私は、マリア・カラス』
2017年製作
DVD<廉価版> ¥1,257
発売・販売元:ギャガ
© 2017 - Eléphant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinéma

