キッチンは毎日使う場所であり、リフォームの中でもとくに費用が高くなりやすい部分なので、絶対に失敗したくないですよね。
しかしリフォームガイドが2025年(令和7年)5月に実施したキッチンリフォーム経験者を対象にしたアンケートでは、「リフォームで後悔している部分がある人」が30%を超えました。自分たちのリフォームでは、この失敗例をいかして後悔のないリフォームを行いたいものです。
そこで本記事では、アンケート結果やよくある失敗例をもとに、キッチンリフォームでとくに意識したい注意点を解説します。ぜひ参考にしてください。
1.【300人に聞いた】キッチンリフォームで後悔した人の割合は33.7%
冒頭でもお伝えしたように、リフォームガイドが2025年(令和7年)5月に実施したキッチンリフォームのアンケートによると、約33.7%の人がキッチンリフォームで「リフォーム前にもっと早く知っておけばよかったと後悔したポイントがある」と回答しました。

アンケートデータ出典:キッチンリフォームで最も参考にされたプロの意見は「おすすめのキッチンの種類・メーカー」
【調査概要】
調査対象者:過去10年以内にキッチンを含むリフォームをした40代~60代の男女
回答者数:300人
居住地:全国
調査方法:インターネット調査
アンケート実施日:2025年05月15日
つまり、約3人に1人が何かしらで後悔している部分があるということです。
具体的にどのような後悔・失敗が多かったのか、次章から詳しく説明します。
2.アンケート回答から見る、キッチンリフォームの12の失敗例
アンケートには、次のような失敗事例が寄せられました。
※コメントは、アンケートで寄せられた内容をもとにAIで再構成したものです。
2-1.動線・使い勝手が悪かった
リフォーム後に調理スペースや収納配置が自分の動線に合わず、思ったほど快適ではなかったです。「もっと細かくシミュレーションすべきだった」と後悔しました…(49歳・女性)
調理台や通路が狭く、作業時に不便を感じています。スペース配分をしっかり検討すればよかったと後悔。(49歳・男性)
キッチンは調理だけではなく、皿洗いや買い出しの片づけなど、さまざまな作業を行う場所です。しかし、それらの動線を考えずにリフォームすると、実際に使い始めてから「動線が悪い」「収納棚の配置が自分には合わない」など、使いづらさを感じてしまうかもしれません。とくにキッチンスペースをコンパクトにするために通路幅を削った人は、「狭すぎて複数人でキッチンに立てない」「冷蔵庫や引き出しが開けにくい」など後悔しがち。
そうした課題をクリアして使いやすいキッチンにするには、自分が調理や買い出し後にキッチンでどのような動きをしているのかを書き出してみて、シミュレーションするのがおすすめ。複数人でキッチンに立つ機会が多いなら、動線の重なりも含めて配置を考えましょう。通路幅は最低でも、90cm以上は確保することをおすすめします。
2-2.収納が足りず、物があふれてしまった
家族の成長で調理器具や食器が増え、リフォーム直後から収納が足りないのが悩みです。見た目を優先して、シンプルなキッチンを目指したことを後悔しています。(41歳・男性)
生活感を見せないスッキリとした空間を目指したのですが、収納が足りず物が収まりませんでした。もっと収納計画を練るべきでした…(52歳・女性)
収納量不足も、キッチンリフォームでよくある失敗例です。
とくに吊り戸棚付きのキッチンから、オープンキッチンへと交換したときに多くみられます。また、リフォームから数年後に「収納が足りなくなった」と、新たに食器棚を追加購入するケースも少なくないようです。
そうした収納量不足を防ぐためには、収納する物と量、将来的に増えるであろう量まで考えて、余裕をもった収納量を確保することが大切です。持ち物が多い人は、可動棚やパントリーの設置なども検討しましょう。
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2-3.素材・設備選びで後悔した
システムキッチンはさまざまな部品と設備を組み合わせてつくりますが、それほど選択肢は多くはありません。
しかし、それでも「素材と設備選びで失敗した」と感じている方が一定数いるのが事実です。アンケートでは、次のような後悔が多くみられました。
高級感を重視して天然素材を導入したが、汚れやすく手入れも大変。最新の人工素材なら、耐久性や手入れのしやすさが違ったと痛感しています。(47歳・男性)
選んだ素材や設備の手入れが想像以上に手間。掃除しやすさやメンテ性を考えて選べばよかったと反省しています。(60歳・女性)
価格を優先して標準モデルを選んだが、後から「自動洗浄機能」や「省エネ性能」が欲しくなって後悔しています。長期的に考えれば、上位モデルが正解だった。(65歳・男性)
素材選びの後悔で多かったのは、自然素材を選んだことによる掃除とメンテナンスの大変さです。例えば無垢材を使ったキッチンは、デザイン性が高く自然素材ならではの質感をたのしめる一方で、濡れたときの拭き取りや傷ができたときのリペアなど、小まめな手入れが欠かせません。そうしたデメリットを知らずに自然素材を選んでしまうと、後悔する結果に。「少々のシミや傷は気にならない」「小まめ手入れが苦ではない」という方でなければ、難しいかもしれません。
また、費用を抑えるために性能面を妥協した方も、後悔しがちです。
たとえば、レンジフードの自動洗浄機能や水栓のセンサー機能などは、あるのとないのでは使い勝手が大きく変わります。費用を予算内で抑えることも重要ですが、清掃性・耐久性・機能性なども比較しながら、素材と設備を選びましょう。
2-4.追加工事によって別途費用がかかった
設計時に確認不足だったようで、既設の開口が使えず、新たに穴を開ける工事が必要になりました。余計な費用と手間がかかってしまった…。(68歳・男性)
リフォームで追加工事が発生すると、数万円~数十万円単位の追加費用がかかる可能性があります。
キッチンリフォームでよくあるのは、次のような追加工事です。
給排水管の移設、交換
IHや食洗機導入のための電気配線工事
換気扇の交換や延長、換気口の穴あけ
吊り戸棚やカップボード設置のための下地補強
これらの費用は見積もり時に加味して算入されていることが多いですが、見落とされていたり、工事に着手してから追加工事が発覚したりするケースもあります。
リフォームは現場でのイレギュラーが起こりやすいのは確かですが、追加工事の可能性とその場合にかかる費用などは、リフォーム会社に確認しておきましょう。
2-5.仕上がりがイメージと違った
完成後の色味が想像と異なり、キッチンの空間全体の印象が思っていたのと違ってしまいました。色の確認を怠ったことを後悔しています。(48歳・女性)
完成してみると想像より狭く、空間設計の難しさを痛感しました。図面やパースで仕上がりをイメージしきれなかった点を後悔しています。(49歳・女性)
キッチンの仕様を決めるときには、扉カラーのサンプルやイメージ画像で仕上がりを確認します。しかし、小さいサンプルや平面図だと、扉全面にその色が並んだときの印象や空間の広さなどは、なかなかイメージできません。
そうしたイメージとの乖離を防ぐためには、モデルルームでの現物確認や、3Dシミュレーションがおすすめです。キッチンメーカー提供のシミュレーションシステムなどを活用して、色味や空間の広さなどをしっかり確認しておきましょう。
素材・色のシミュレーターは、LIXILやクリナップなどメーカー提供のもののほか、リフォーム会社が独自でシミュレーションを出してくれることもあります。
2-6.一部分にこだわってしまい、バランスの悪い仕上がりになった
デザイン・価格だけにこだわって決めた結果、総合的なバランスを欠いてしまったという気がします。料理を始めると使いにくいところや必要な収納がないなどの違和感があります。(52歳・女性)
システムキッチンでは、デザイン・機能・費用の3つのバランスがとても重要です。
しかし、これらのバランスを取るのはとても難しく、扉カラーや天板の部品にハイグレード品を使うと設備の機能面に使える費用が少なくなり、機能面にこだわりすぎるとあっという間に予算オーバーしてしまいます。
そのため、予算内で満足度が高いリフォームにするためには、費用や機能性、メンテナンス性、将来性などを加味したうえで、総合的な判断をすることが大切です。「こだわりたい部分」「妥協してもいい部分」を明確に分け、それぞれに優先順位をつけておきましょう。
【Point】機能性は妥協しないほうがいい!キッチンの使いやすさに直結するのは、主に設備面です。扉カラーや天板の色味などのデザイン面はあくまで見た目の問題なので、予算が厳しいときには設備面を優先しましょう。
食洗機の設置やセンサー水栓、全自動清掃ができるレンジフードなどの希望は、あまり妥協しないことをおすすめします。
2-7.キッチンと周辺との間に違和感が生じてしまった
キッチンが新しくなったことで、逆に周囲の壁や床の古さが際立ってしまった。事前に全体の劣化を把握していれば、対応できたのではないかと後悔があります。(65歳・男性)
キッチン本体にばかり目を向け、周囲の劣化や空間とのバランスを考えずに進めた結果、後から不具合に気づきました。もっと周囲も含めたプランを立てるべきでした。(53歳・男性)
部分的なリフォームをするときに気を付けたいのが、他の部分から浮いてしまうことです。たとえば、システムキッチン本体のみを交換したときに多いのが、「キッチン周りの床や壁の劣化が気になり始めた」という悩み。そういったケースではすぐに内装リフォームも行う方が多く、余分な施工費と手間賃がかかってしまいます。
空間に統一感を出すためには、キッチン本体に加えて周辺内装もリフォームするのが確実です。オープンキッチンなどでキッチンがリビング・ダイニングに面している場合は、室内全体の内装材の劣化状況やリフォーム後の統一感なども含めて、施工範囲を考えてみてください。
内装リフォーム、何から始めればいい?|できること・費用・事例もご紹介
2-8.情報・比較不足でリフォームの進行に不安があった
リフォーム知識が乏しく、工事の流れや設備の基本仕様を理解しないまま進めてしまった。リフォーム会社の言いなりになりすぎた気がするので、もっと学んでから依頼すべきだったと痛感しています。(54歳・男性)
プランニングや展示会をもっと回って情報を得れば、より良い選択ができたような気がします。事前の準備不足を後悔しています。(59歳・女性)
リフォームの全体の流れは業者が教えてくれますが、それでもリフォームに関する基本的な知識は施主自身も身に付けておいたほうが安心です。
たとえば、次のような内容は事前に調べておきましょう。
人気のメーカーと設備機器
デザインのトレンド
キッチンで予算をかけるべき部分、削る部分
実際にキッチンリフォームした人の事例
失敗例や注意点
SNSや情報メディア、リフォーム情報誌などを参考に、事前にリサーチしておきましょう。
【2025年版】こだわり別に選ぶ!プロおすすめのシステムキッチン5選
キッチンリフォームのプロが選ぶ!おすすめキッチン8選
2-9.リフォームのタイミングを誤った
実際に使いやすくなり便利になったのですが、何度か先延ばしにしたため、不便な期間が長かったことを今となっては後悔しています。(64歳・女性)
検討を先延ばしにした結果、資材や人件費の値上がりに直撃してしまいました。数年前に決断していれば、同じ内容でも安くできたのでは…。(48歳・男性)
劣化を感じてはいるものの「まだ使える状態」のときは、リフォームを先延ばしにしがちです。しかし、リフォームをするまでは使い勝手が悪いままで、タイミングによってはメーカー品が値上がりする可能性があります。
キッチンリフォームは費用が高額になりやすいので即決は難しいかもしれませんが、「使いにくい」「劣化が気になる」と感じたときが、リフォームのベストタイミングです。
できるだけ早くリフォーム会社に相談して見積もりを取り、価格動向なども調べておきましょう。
キッチンは何年でリフォームする?耐用年数から見る最適な時期
2-10.補助金・助成金があるのを見落としていた
工事後に市が出している補助金制度を知り、申請していれば数十万円は節約できたと後悔。制度を調べずに進めたのが失敗でした。(48歳・男性)
リフォームをしたときには、国や地方自治体の補助金や助成金制度を利用できる可能性があります。
キッチンのみで利用できる制度は限られますが、自治体独自の補助金が対象になることも。その場合は、市の登録事業者であること、市内の業者であることなどの条件がつきものです。補助金の利用を希望するなら、自分のリフォームで利用できそうな補助金がないか、事前に調べておきましょう。
【Point】補助金・助成金制度は毎年変わる!リフォームを対象にした補助金・助成金制度は年度ごとに工事対象や要件、補助額などが変わります。昨年は対象だった工事が今年は対象外になる可能性もあるため、必ず最新情報をチェックしましょう。
キッチンリフォームで使える補助金・助成金制度【2025年最新版】
2-11.費用が予算を超えてしまった
見積もり時は予算内に収まると思っていたが、追加工事やオプションで費用が膨らんでしまいました。もっと価格交渉や比較検討をすればよかったです。(56歳・男性)
想定していたよりリフォーム費用が高く、予算を大きく超えたことが負担になりました。低コストで済ませる方法を探せばよかったと感じています。(60歳・男性)
システムキッチンはとてもオプション類が豊富なので、いろいろと希望を伝えると、「あっという間に予算オーバーしてしまった」というケースもよくみられます。
となっていますが、割合で見れば100万円を超えた方も多くいました。予算を考えるときには平均値が参考にはなりますが、キッチンでは自分たちの希望から予算を考えましょう。
次のような希望がある方は、予算を多めに確保しておくことをおすすめします。
キッチンの移動をしたい
非対面キッチンから対面キッチンにしたい(前壁を壊したい)
吊り戸棚を撤去して、カップボードを設置したい
設備機器の機能性を重視したい
とくに上3つの工事を希望する場合は追加工事が発生する可能性があるため、見積価格の10~20%ほどの追加費用を見込んでおくと、予算オーバーを避けやすくなります。
契約書作成時には、追加工事の明確な条件を明記してもらいましょう。
キッチンリフォームの費用相場はいくら?費用を抑えるコツも解説
2-12.業者選びを失敗した
キッチンリフォームでもっとも重要なのは、業者選びだと言っても過言ではありません。
同じメーカー品・仕様を選んだとしても、仕上がりや料金に大きな差が出るからです。アンケートでも、業者選びにおいて次のような声が多くありました。
メーカーや施工業者によって仕上がりのセンスや質が異なることを後で知りました。業者選びって重要ですね…。(49歳・男性)
配水管の構造を把握していなかったため、最初の業者では工事ができず、新たに業者探しをすることになってしまいました。時間も費用もかさんでしまった。(53歳・男性)
1社に絞って契約したが、後から「他社の方が安かったのでは」と不安を感じてしまっています。複数の会社で相見積もりを取っておけば後悔しなかったかもしれません。(58歳・女性)
これらの内容からも、料金・仕上がり・対応工事が業者ごとに差があるのだとわかります。
業者選びの失敗を防ぐためには、キッチンリフォームの実績が多く、口コミがよい業者を探すことが重要です。その中で相見積もりをして、料金と工事内容に納得できる依頼先を見つけましょう。
費用を抑えるために相見積もりを考える方が多いですが、その際には料金だけではなく、工事内容や追加料金と保証の有無までしっかりと確認してください。
「料金一式」など簡略化された見積書を出す業者は、どれだけ安くても避けたほうがよいでしょう。
キッチンリフォームの業者選び|おすすめの依頼先やチェックポイントを解説
リフォームの相見積もり、何社に頼む?ポイントや進め方・マナーを全解説!
後悔のない会社選びのためには、一括見積サービスを使って相見積もりを行うのがおすすめです。では厳しい審査を通過した優良会社のみを複数社ご紹介して現地調査の手配まで対応しますので、手間なく相見積もりを進めることができます。

