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中国政府による“メーカー選別”の始まり…2026年の中国自動車、生き残りをかけた「ホワイトリスト入り」のボーダーライン

中国政府による“メーカー選別”の始まり…2026年の中国自動車、生き残りをかけた「ホワイトリスト入り」のボーダーライン

外資系を排除し、地場を強化…「ホワイトリスト」に隠れた思惑

また、前項の条件を満たした企業が、電池「ホワイトリスト」に掲載される。同リストの背後には、外資系電池メーカーの参入を排除する中国政府の保護政策があった。中国工業情報化省は2017年から2024年まで8回にわたり計94社の地場電池企業を選定し、中国電池産業の育成を図っている。

また、中国工業情報化省が2021年に実施した「EV電池の安全要求」では、電池セルが熱のコントロールを失った状態から5分間は電池システムが発火や爆発を起こさず、乗員が逃げる時間を確保できるようにすることが求められている。

2022年にはEVメーカーに対し、車載電池が安全に使用できる範囲を明確化し、衝撃、浸水、充放電異常などの状況下でも電池の防護力が引き上げられることなどが要請された。

「燃えても5分の猶予」→「発火させない」…来年7月施行の新・安全基準

2025年4月、中国工業情報化省は新たな電池安全基準である「電気自動車用動力蓄電池安全要求(GB38031-2025)」を発表し、2026年7月1日から施行する。2020年制定の現行の規定より厳しい内容となり、熱拡散、衝突試験、火災・爆発の防止などが義務づけられた。

具体的には既存の「外部加熱」「釘刺し」に加え、「内部加熱」が導入され、熱拡散試験が厳格化される一方、アンダーボディの衝突試験では電池の漏れや外殻の破裂、発火・爆発がなく、絶縁抵抗などの要件が新たに求められる。

急速充電の安全性では、300回の急速充電サイクルを経た後の電池に対しショートテストを行う必要がある。特に現行の「電池が発火するまでの5分間猶予」は、「電池が発火・爆発しない」「煙が乗客に害を与えないこと」という要件に改定された。

世界の6割が中国製EV電池…「質」重視の政策転換は功を奏すか

2024年の中国の車載電池搭載量は前年比42%増の548GWhとなり、世界全体の61%を占めている。EV向けが着実に増加する一方、PHV向けも好調だ。

電動モードで航続距離150kmのPHVなら30Whの電池が搭載されているため、PHV市場の拡大はリン酸鉄電池メーカーにも追い風となって、生産コストの安いリン酸鉄系電池が電池搭載量全体の74.6%に達した【図表1、2】。国内市場の需要が増加する一方、海外輸出も増加し、電池輸出量は生産量全体の13%を占めている。

出所:CABIA、SNEリサーチ発表 [図表1]中国の車載電池搭載量の推移 出所:CABIA、SNEリサーチ発表 出所:CABIA、SNEリサーチ発表より筆者作成 [図表2]種類別の中国の車載電池搭載量割合 出所:CABIA、SNEリサーチ発表より筆者作成

実際、搭載実績があった電池メーカー数は、2016年の144社から2024年は55社にまで減少した。2024年の中国車載電池市場では、CATLとBYDがそれぞれ45.1%、24.7%のシェアを占め、圧倒的強さを見せており、上位10社のシェアは96%に達し、残りの4%を45社で分けている【図表3】。

出所:CABIA発表より筆者作成 [図表3]企業別の中国の車載電池市場シェア(搭載量ベース、%) 出所:CABIA発表より筆者作成

現在中国には、質とコストの両面を追おうとする電池メーカーが多い割に、製品の安全性・安定性を維持できる電池メーカーは限られている。

中国政府は、電池生産能力の増強に障壁を設ける一方、電池メーカーに技術のイノベーションを求め、「質」を重視する政策への転換を示した。こうした政策の見直しは、電池メーカーの再編を告げるものである。

湯 進

みずほ銀行ビジネスソリューション部

上席主任研究員

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