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なぜ今また株主優待が増加?2024年から始まった企業戦略の転換点

なぜ今また株主優待が増加?2024年から始まった企業戦略の転換点

2024年、日本の株式市場では株主優待制度を巡る動向に注目すべき転換点が訪れていました。過去5年間続いた減少傾向から一転し、優待制度を採用する企業が再び増加基調に転じました。一時期は機関投資家から「株主平等の原則」に反するとの批判を受け、廃止の動きが加速していた株主優待制度。しかし今、企業の経営戦略における新たな価値創造ツールとして見直されつつあります。なぜ今、企業が相次いで株主優待の導入に踏み切っているのか、その背景にある複合的な要因を詳細に検証します。さらに、優待制度の導入が株価形成にもたらす影響について解説します。

株主優待実施企業の現状と増加の背景

2024年、日本の株式市場において注目すべき変化が起きました。株主優待を実施する企業数が5年ぶりに増加に転じ、9月末時点で1494社と過去最高水準に達しました。

出典:日本証券業協会

この増加の背景には、東証改革と新NISAという2つの大きな要因があります。東京証券取引所が推進する「資本コストや株価を意識した経営」という方針のもと、特にグロース市場の企業は上場5年後に時価総額100億円という基準をクリアする必要があり、株主優待は個人投資家を引き付ける有効な手段となっています。

また、2024年1月にスタートした新NISAにより、個人投資家層が急速に拡大しています。株主優待は投資初心者にとって分かりやすい魅力であり、企業側も積極的に個人投資家の取り込みを図っています。政府が掲げる「資産所得倍増プラン」の実現に向けて、優待制度は重要な役割を担っているのです。

株価への具体的なプラス効果が実証される

出典:日本証券業協会

株主優待導入による効果は、日本証券業協会のデータでも明確に示されています。まず、株主数については優待実施企業が未実施企業と比較して平均110.2%増加するという顕著な差が見られます。実施企業の7割以上が「個人株主の増加」を実感しており、安定株主の確保という面で大きな成果を上げています。

株価の安定性も向上します。90日ボラティリティで測定すると、優待実施企業は未実施企業より22.2%低い数値を示しており、株価の変動が抑制される傾向にあります。これは長期保有を前提とした個人投資家が増えることで、短期的な売買による価格変動が緩和されるためと考えられます。

さらに重要なのは、PER(株価収益率)が平均8.8%上昇するという点です。これは優待品が持つ心理的な価値や、優待実施による企業の認知度向上が投資家の評価を高めているためと分析されています。実際、優待新設を発表した企業の株価が大幅に上昇するケースが相次いでおり、市場の期待の高さがうかがえます。

配信元: mymo

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