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なぜ今また株主優待が増加?2024年から始まった企業戦略の転換点

なぜ今また株主優待が増加?2024年から始まった企業戦略の転換点

企業戦略における優待制度の位置づけの変化 

会議
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近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。従来の持ち合い株式が減少する中で、アクティビストファンドや敵対的買収のリスクが高まっており、安定株主の確保が急務となっています。株主優待は、個人投資家という安定株主層を形成する有効な防衛策としても機能しています。

実施企業の約4割が長期保有優遇制度を採用していることも特徴的です。権利確定日のみを狙う短期投資家を排除し、真の意味での安定株主を育成する工夫が進んでいます。また、QUOカードやデジタルギフトの普及により、企業側の事務コストが大幅に削減され、導入のハードルが下がったことも追い風となっています。

一方で、TOB(株式公開買付け)やMBO(経営陣による買収)に伴う優待廃止も増えており、2024年4月から9月までに廃止を発表した29社のうち16社がこれに該当します。また、機関投資家からの「株主平等の原則」に基づく批判も根強く、大企業を中心に配当への一本化を進める動きも見られます。

今後の展望:個人投資家と企業価値の好循環へ

上昇グラフと笑顔の女性
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株主優待制度は、日本独自の文化として定着し、個人投資家にとって投資の入り口となる重要な役割を果たしています。企業にとっても、株主数の増加、株価の安定、企業価値の向上という具体的なメリットが実証されており、戦略的な活用が進んでいます。

今後も新NISA効果による個人投資家の増加や、東証改革による株価意識の高まりを背景に、優待制度の活用は続くと予想されます。ただし、機関投資家との対話や株主平等の観点から、配当政策との適切なバランスを取ることが求められるでしょう。企業は自社の成長段階や株主構成に応じて、最適な株主還元策を選択していく必要があります。

配信元: mymo

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