「スタートランプ」は競技者を支え、大会の価値も向上させるツールにもなる
――竹見さんは「東京2025デフリンピックの運営」にも関わっています。企画設計などで気をつけた点を教えてください。
竹見:障害がある人の競技はどうしても「かわいそう」というイメージが先行して、純粋に競技を楽しんでもらえることが少ないのではと感じていました。
そこで、「東京2025デフリンピック」の告知動画では、ほとんどデフリンピックであることを伝えないPR動画(外部リンク/YouTube)を作ったんです。

――耳に近未来的なヘッドギアが着いていて、かなりスタイリッシュな動画ですね。
竹見:はい。デフリンピックに対する意識を変えてもらいたいな、と考えました。「かわいそうな人たちが頑張る大会」では決してなく、純粋に競技として前向きに楽しんでもらいたいという思いがあります。
そのために「スタートランプ」も競技の盛り上げに一役買っているんです。突拍子もないようですが、「スタートランプ」や、ファウルなどを光で知らせる「見えるホイッスル」は競技中に見るとイルミネーションのようですごくきれいなんです。
「スタートランプ」や「見えるホイッスル」が、デフスポーツのエンターテイメント性を高めてくれる1つのツールとして機能するのではないかと考えています。

竹見:デフスポーツをできるだけ福祉っぽくならないようにしたいんです。なので、「聞こえない人のために『スタートランプ』を設置しよう」ではなく、最初は軽いノリで「会場で光って映えるから『スタートランプ』を置こうよ。聞こえない人も一緒に出られるし」といった感じで進めていきたい。そういう軽いノリこそ、裾野が広がっていくのではないかと考えています。
また、デフリンピックでは競技場に横長のモニター「リボンビジョン」を設置し、実況音声をリアルタイムで可視化したり、手話通訳者をモニターに映したりする試みも行われています。どうしても必要だと考え、東京都に掛け合って採用してもらいました。

竹見:競技者と観戦者のサポートの意味合いだけでなく、ひと目でデフリンピックだと分かるようにスタイリッシュに演出することも必要だと感じました。デフリンピックの価値を上げ、大会を持続可能なものにするためにも「スタートランプ」などのツールが大きな役割を果たすと信じています。
誰もがスポーツを楽しめるような社会のため、私たち一人一人にできること
最後に竹見さんに、誰もがスポーツを楽しめるような社会のため、私たち一人一人にできることを伺いました。