[3] コミュニケーションに対する意識を改める
聴者は、「会話によるコミュニケーションができること」を普通のことだと思いがち。障害によっては、会話を前提としたコミュニケーションが困難になる。そのことを意識し、さまざまな場所で取りこぼされている人がいないか配慮することが求められる
「東京2025デフリンピック」の開催が直前ということで、デフスポーツについての課題を伺いたく、今回、竹見さんに取材を申し込みました。
聴覚障害のある選手の出遅れを「当たり前」としてきた背景には、聞こえることを前提とした競技構造があったのだと思います。その構造を変えようとする竹見さんの取り組みは、スポーツ界だけでなく、私たちの日常にも問いを投げかけているように感じます。
競技大会で聴覚障害のある競技者を支える「スタートランプ」は、競技者と聴者のつながりをつくってくれる存在だと思いました。競技者に寄り添いながら、大会を持続可能なものにするために献身的なサポートを続ける竹見さんの姿に、デフスポーツへの大きな愛を感じた取材でした。
撮影:永西永実
〈プロフィール〉
竹見昌久(たけみ・まさひさ)
1975年生まれ。東京都立中央ろう学校高等部主幹教諭。高校、大学と陸上競技部に所属し、大学卒業後に教師の道へ。長年、陸上競技部の指導に携わり、29歳で前任の立川ろう学校に赴任。ろう者への陸上競技の指導に深く関わるようになる。現在は、全国聾学校体育連盟事務局次長、一般社団法人日本デフ陸上競技協会事務局次長を務め、国際大会におけるスタートランプの設置や世界的な普及活動のほか、「東京2025デフリンピック」に向けた取り組みも行っている。