うなぎの寝床のように狭く細長い形状の物件や、築年数が非常に古い物件に住む若者たちは、いつの時代もメディアで取り上げられてきたが、近頃は“狭小物件”などを紹介する内見動画がSNSでも人気コンテンツである。物価高に直面する首都圏での生活環境の変化や経済事情を背景に、ひと昔前よりもかなり現実的な選択肢となっているようだ。
しかし、リアルな住み心地などは当事者にしかわからないことも多い。“そこに住む理由”には、人生観までも映し出されるはず。

◆「こう見えて正社員」大学在学中に4畳半を経験

丸山:そうですね。高校卒業後、立教大学の心理学科に進みまして。キャンパスが埼玉の新座だったので、入学してからの4年間は志木(埼玉県)の6畳1Kに住んでいました。いわゆる狭小物件に初めて住んだのは、池袋の4.5畳の部屋です。22〜24歳の2年間住んでいました。
――大学卒業のタイミングで4畳半へ?
丸山:大学には8年間在学していました。大学4年でビジュアル系バンドを組んだことを機に4年間休学したので。周りがリクルートスーツを着て就活を始めたタイミングで、僕だけ派手髪にして音楽活動を始めたという。
――なんと。だいぶパンクですね(笑)。

――丸山さんの現在の主な収入は何ですか? “レンタルコワイ人”としての活動など、SNSのプロフを拝見しても“謎の人”感が否めないというか(笑)。
丸山:本業はWebデザイナーですね。26歳で大学を卒業してから、すぐ僕の地元・京都にある広告代理店に正社員で入社し、今も同じ会社で働いています。父の友人の会社という縁があり、こんな見た目でも入社させてくれました。病弱なので保険のことも考えて正社員になろうかなと。
――病弱なんですか(笑)。すみません、つい笑っちゃって。タトゥーだらけの見た目とのギャップが……。
丸山:幼少期は救急車で運ばれるぐらい重い喘息でした。業務報告などで月1回くらいは京都のオフィスへ行くんですが、基本的にはずっとフルリモート、在宅ワークで働かせてもらっています。レンタルコワイ人などの活動は、趣味も兼ねた副業という感じですね。
◆狭小物件は在宅ワークには不向きだが、冷暖房は一瞬で効く

丸山:狭小物件で言うと、29〜30歳の2年間が3.5畳、30歳から今年6月までの2年間は2.5畳でした。ただ、24〜28歳の4年間は池袋の9畳の部屋に住んだり、当時の彼女と30平米ほどの2LDKで少し同棲したりしていた期間も合間にあります。
――やっぱり家賃の安さが一番の魅力ですか。
丸山:家賃は3.5畳が高田馬場で4万4000円。2.5畳の部屋は要町と池袋の間くらいの立地で、共益費に電気・水道・ガス代が込みで月4万8000円でした。狭小物件に関しては2年更新のタイミングで引っ越していて、現在は7畳の部屋に住んでいます。
――確かに魅力的な立地と家賃ですが、いくらなんでも2.5畳は狭すぎます。

――2.5畳でのフル在宅勤務って、かなり気合いがいるような。
丸山:姿勢がどんどん悪くなりました。会議などがなければ基本働く時間は自由なので、用事をつくって1日1回は外出するように意識していましたね。筋トレにハマっていたことがあるんですが、2.5畳だとベッドにスペースを専有され、腹筋ローラーができなくなってしまったことも、個人的に大きなデメリットでした。3.5畳ならギリギリできたんですけど。
――2.5畳の共同住宅って、どんな構造なんですか。
丸山:1フロア9戸ずつ、計27戸の3階建てアパートで、3階に小さな共用コインランドリーがありました。
――わりと新しい物件だったんですか?
丸山:具体的な築年数はちょっと覚えていないんですが、けっこう古かったと思います。水まわりの故障で水が溢れてしまって部屋が浸水しかけたことが1度ありました。水道業者の方が以前も同じ部屋で修理したことがあると言っていました。その時は老夫婦が2人で住んでいたそうです。
――2人で? めちゃくちゃな話ですね……。
丸山:老夫婦の荷物が多くて修理作業よりも片付けが大変だったとも言っていましたね。僕の印象だと、レンタルスペースやセカンドハウスとして借りている若い人が多かったのかなと。
――2.5畳で一人暮らしだと、モノが扉に挟まってシャワーやトイレから出られなくなるリスクもありそうですね。
丸山:ベッドを置くとシャワールームのガラス扉が半分くらいしか開かない状態で、僕は取り外して生活していました。冷暖房が一瞬で効くというメリットはありつつ、ベランダもなかったので洗濯物も部屋干しでしたし、コンクリート打ちっぱなしで湿度はこもりがちでした。

