審理が行われている101号法廷は傍聴席が67あり、一般傍聴席が34で、記者席は約30。初日は一般傍聴席32席に対して傍聴希望者は727人で、倍率は約23倍だった。最近は約7倍になっている。

◆フリー記者にも認められた記者席
今回、筆者は傍聴券を求めて並ぶ必要がなかった。10月10日、来年1月21日の判決までの全公判(予備日含め19回)の記者席の申請をしたところ、地裁の総務課広報係長から24日、「記者席での取材を認める」という電話があった。裁判所内にある司法記者クラブのメンバー以外のフリー記者に記者席が与えられるのは極めて異例だ。地裁の決定の経緯はブログ「浅野健一のメディア批評」に公表した。
事件発生と山上被告の逮捕から3年3カ月後にやっと始まった裁判員裁判。13日(木)に開かれる第7回公判では、山上被告人の母親が証言する。本裁判は最初の大きなヤマ場を迎える。母親は今も世界平和統一家庭連合(統一協会)の影響下にあるとされる。統一協会は母親の記者会見を行う動きを見せていたが、結局実現されなかった。母親が公の場で事件について語るのは、毎日放送(JNN系)記者の短い取材以外ない。山上被告人が久しぶりに対面する母親の登場にどのような反応を示すのか。
また、山上被告と面会を重ねているとされる妹も証言する可能性がある。弁護側は親族を含め、旧統一教会に詳しい宗教学者、統一協会の高額献金問題に取り組んでいる弁護士など、合わせて5人への証人尋問で立証し、刑を軽くするよう訴える方針だ。本稿では、第7回公判の前に、これまでの公判の様子や筆者が感じたことを改めてまとめてみる。
◆警察関係者、医師の証言
初公判では、被告人の認否、検察・弁護双方の冒頭陳述が行われ、第2回公判から検察側の立証に入り、目撃者として安倍氏の隣にいた佐藤啓参院議員(現官房副長官、奈良選挙区)が最初に証言台に立った。その後、奈良県警の警察官・研究員の計4人と安倍氏の遺体を司法解剖した粕田承悟・奈良県立医科大学教授(法医学)が証言し、安倍氏の持病とされた潰瘍性大腸炎の痕跡はなかったという指摘もあった。警察官の証言で、山上被告が逮捕された直後に「当たったか」と警官3人の前でつぶやいたことや、安倍氏の近くにいた自民党関係者の髪を銃弾がかすめたなどの新事実も明らかになった。検察側は犯行に使われた手製銃や現場で見つかった鉛玉などが裁判官・裁判員に示された。押収された手製銃7丁に殺傷能力があったとする実験の動画もモニターに出された。検察、弁護側の双方が裁判員に呼び掛けることも多くあった。裁判では、刑の重さが争点だ。
裁判の事件名は「殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、武器等製造法 違反、火薬類取締法違反、建造物損壊被告事件」と異常に長い。山上被告が現場で現行犯逮捕された2日後、松本恒平弁護士(奈良弁護士会)が接見した。その後、奈良弁護士会刑事委員会が国選弁護人4人が選任された。古川雅朗、小城達、松本、藤本卓司各弁護士で、古川氏が主任弁護人だ。
裁判では法廷外の壁に開廷票が掲示されるが、事件番号と罪名、被告人・裁判長・書記官の氏名しか記されておらず、陪席裁判官2名、当事者である検察官・弁護人の氏名はない。

