今週のテーマは「二度目のデートで家まで行ったのに、その後男からの連絡が途絶えた理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:「餃子とビールが好き」と男に言う29歳女。“庶民派アピール”の裏にある計算とは
「じゃあ、またね」
美里を玄関まで見送り、ドアを閉めてから、僕はどさっとソファへ座り込む。
美里とは、今日で会うのは三度目、二人きりで食事へ行ったのは二度目になる。
でも、今日で僕はすっかり美里への興味を失ってしまった。
正確に言うと、そもそも違ったのかもしれない。きっと、僕から連絡することはもうないだろう。
どうしてこんなに急に冷めたのか?
今思い返すと、美里の言動に最初から違和感を覚えていたのかもしれない。
A1:最初からグイグイ来るなと思っていた。
美里と出会ったのは、食事会の席だった。男女2対2だったけれど、美里は最初から、すごく僕の方へ矢印が向いていたと思う。
― この子、俺のことすごい見てくるな。
自分でも、そう感じるほどだったから。
ただ話していると、お互い共通点が多く、会話は盛り上がった。でも僕からすると、「明るくていい子だな」くらいで終わっていた。
食事会の翌日、美里からお誘いLINEが届く。
― Misato:雄大くん、昨日はありがとう!昨日話していた餃子のお店、六本木にあるんだけど。今度一緒にどうかな?
そういえば、昨日そんな話をしていた気がする。特に断る理由もないので、僕は一旦二人で、美里が話していた『スチーム Dim sum & Wine』へ行くことにした。
ワインと迷ったけれど、まずは二人でビールで乾杯をする。
「では、乾杯!」
乾杯しながら、美味しそうにビールを飲む美里を見て、僕は少し驚いた。
「美里ちゃん、餃子が好きなんだ。意外だね」
どこかホワホワとしている美里。そのイメージと、今目の前でビールを飲み干す美里の間に、少しギャップがあったからだ。
「そう?餃子とビールって、最高の組み合わせじゃない?」
「わ〜。そういうの、わかってくれる系だ。嬉しい!」
ビールと餃子のコンビネーションの美味しさをわかってくれるなんて、きっといい子に違いない。独断と偏見で、そう思った。
そして流れ的に、好きな食べ物の話などになった。
「雄大くんは、何が好きなの?」
「食べ物だと、餃子大好き。あとはカレーとか、唐揚げとか…」
「何それ。子どもみたい」
「それ、よく言われる。たぶん俺、舌が子どもなんだと思う」
「でもいいね。ご飯とか作っても、何でも喜んでくれそう」
「それはもちろん!むしろ、ご飯なんて作ってもらえたら感動して泣いちゃう」
すると、美里は急に恋愛玉をぶっ込んできた。
「本当に?いつでも作るよ」
これは、どういう意味なのだろうか。
ご飯を作る、ということはどちらかの家でしか成り立たない。キッチン付きの宿へ泊まりで旅行する、キャンプへ行くなどの可能性もあるけれど、それはさらにハードルが上がる。
「マジで!?美里ちゃん、ご飯作れる人?」
「うん。普通の家庭的な料理しかできないけど…」
「それがいいんだよ」
「いつでも作るから、言ってね」
― そんな簡単に、許しちゃう感じ?
男女どちらかの家へ上がることに対して、特に抵抗はないのだろうか。いや、むしろ向こうからノリノリで親密度を上げようとしてきており、美里のこの発言に、僕は少し引いてしまった。
さらに、この食事が終わった後のことだった。
「あ〜お腹いっぱい。この後どうする?」
そう尋ねると、食い気味に2軒目を提案してきた美里。
「せっかくだし、もう1軒行かない?」
「美里ちゃんが、大丈夫なら」
「もちろん。今夜は何時まででも」
― そんなに気合入ってる感じ?
今日は、一応初デートだ。
それなのに最初から2軒目へ行く気満々で、家へ上がるのも厭わないような勢いの美里に、僕は完全に押されていた。
「さすが。じゃあもう1軒行こう!」
結局、この日はかなり遅くまで飲んだ僕たち。ただ永遠に帰らなさそうな美里に対し、僕はある気持ちを抱き始めていた。
A2:簡単すぎて、追いかける気にならない。
一度目のデートを終えても、僕は美里に対する探究心があまりなかったので、一旦そのままにしていた。しかし痺れを切らした美里から、再びデートのお誘いが来た。
― Misato:そろそろ、デートしませんか?
この時、一応少し考えた。
でもやっぱり、断るほどの理由もない。それにちょうどタイミングも合ったので、一旦食事へ行くことにした。
今回は恵比寿にある創作系の和食屋を予約したのだが、先に着いた僕は、スマホでメールを見たりしながら待っていた。
すると、やって来た美里が心配そうな顔で覗き込んできた。
「雄大くん、お待たせ!どうしたの?何だか思い詰めたような表情だけど」
「え?あ、ううん。何でもない。ちょっと仕事のメールが来ていたから、その対応をしていただけだよ」
そんな、怖い顔をしながらスマホを見ていたのだろうか。慌てて眉間のシワを伸ばしながら、二度目のデートが始まった。
「美里ちゃん、元気だった?」
「え?う、うん」
しかし、ずっと美里は何か聞きたそうな顔をしている。結局食事が中盤に差し掛かる頃、急に美里が思い詰めた表情で僕に質問をしてきた。
「雄大くん。今って、彼女いないの?」
「どうしたの、突然」
「いや、ちゃんと聞いていなかったなと思って。もし彼女がいるなら、彼女に申し訳ないからちゃんと言ってほしい」
― あ〜まぁそうなるよね。
これは当然の流れだろう。でも、聞かれた瞬間に「面倒だな」と思ってしまった。
別に美里と付き合うわけでもないし、ただこうやって、食事を二回しただけのこと。でも美里からすると、もう一歩踏み込んだ関係になりたいのだろう。
そうなると、急に重く感じる。
「今はいないよ、本当に。そんなに心配なら、この後うちに来る?何の女性の痕跡もないから、自由に見ていいよ」
「本当に?」
しかも軽いノリで誘ったこの誘いに対しても、速攻で乗ってきた美里。
結局本当にそのまま、僕の家へ来ることになった。
「ね?何もないでしょ」
「本当だ。ごめんね、疑って」
今日は、まだ二度目のデートだ。それなのに、ホイホイと僕の家へついてくる。そんな女性に対して、僕の中では完全にポジションが決まってしまった。
― この子、誘えばいつでも来そうだな。
正直、価値がない。
最初から僕のこと大好きオーラ全開で、グイグイ来る。この時点で追いかける気にもならなかったけれど、この二度目のデートでそれはさらに悪化し、こんな簡単に家へ来てしまう女子はどうなのだろうか。
「いいよ全然。それより、何か飲もうよ」
「うん」
まったく、高嶺の花感がない。
二度目のデートで家へ来る女性は、よくないと思う。それは、本命になりづらいからだ。
少しでも「この子、チョロいな」と思われたら、そこで終わり。もし好きな男性の本命になりたかったら、頑張って頑張って、ようやく手に入る…くらいのブランディングが必要だと思う。
結局、これ以上追いかける気にはもちろんならず、面倒になって連絡を取ることすらやめてしまった。
▶【Q】はこちら:「餃子とビールが好き」と男に言う29歳女。“庶民派アピール”の裏にある計算とは
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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