◆服好きであるほど「被り」を気にしている
しかし、それが現代ではオンライン化され、またSNSで拡散され、誰もがPRADAのラインアップや商品を見る知ることができるようになったのです。それにより希少性は失われました。PRADAに限らず例えばマイナーブランドでもそうですが、昔は「知る人ぞ知る」だったものが今では圧倒的スピードで「誰もが知る」になってしまうのです。ファッションは本質的に希少性を求めるものであり、また服好きであるほど「被り」を気にします。現代においてこれを担保するのは大変困難であり、だからこそ今は空前の古着ブームにもなっているのです。
古着は一点ものですから。希少性がそもそも担保されています。仮に同じものがあったとしてもダメージの入り方などはまるで違う。今どの街でも古着屋さんが爆発的に増えているのはこうした『希少性の最後の逃げ道』として機能しているからなのです。
そして、今回題材に挙げているラブブもこの「希少性の逃げ道」の一つとしてトレンドにピッタリハマったものなのです。
◆カスタマイズという希少性担保の一つの形
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ラブブのは「チャームであること」です。チャームとしてキーホルダーとしてバッグや携帯に取り付けることができます。これはカスタマイズという希少性担保の一つの形です。
高いお金を出してPRADAのバッグを買っても「あ、それ今年の新作だよね」と皆に分かられてしまう。SNSで有名人が拡散し続けるため、それだけでは希少性が担保できません。そこでバッグをカスタマイズすることで希少性を作ることができるわけです。
思い返してみるとこれは2000年前後の女子高生にも見られました。そう、携帯電話のじゃらじゃらストラップですね。
以前は携帯電話を持ってること自体が希少性でした。皆がポケベルの中「私は携帯電話を持っている」と所有だけで希少性が担保できたのです。しかし、普及が進む中で希少性は薄れ、今度は機種による希少性や個性を求めました。
「私はN、私はSH、私はP」みたいなモデル名で個性を表現できたのですが、それも圧倒的な携帯普及速度の中で被りが大量に発生してしまいます。おじさんおばさんと同じ機種を持つことになるJKは当然それを嫌がります。希少性担保のために彼女らがとった方法は「ストラップをつけて自分なりにアレンジすること」でした。

