小説家・王谷 晶さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『呪い』より。
BOOK 2025.9.19 New
18、19歳の頃、古本屋の百円均一棚で手に取った短編集。当時、ボロアパートで先の見えない閉塞感を持っていた自分にバチッとはまりました。辛い話しか載っていなくて、それでいてどこかロマンチック。意地悪な目線と皮肉なユーモアも含まれている。そして、生身の人間を膾に叩いて、その体が目の前に転がされたような生々しい文章。こんな人間の描き方があるのか、とショックを受けました。特に冒頭の一篇、「片腕」の、死刑囚となる青年が語るこの台詞は書き手としては忘れてはいけない。どんな人間にもその中に心があるんだ、ということ、もしそれを忘れたらもう小説は書けなくなる。アンカーポイントというか、読み返すたび自分の書きたい …
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映画監督・阪元裕吾さんが手放せない大切な一冊、忘れられないフレーズ。『転の声』より。
BOOK 2025.9.20 New
集中力が続かず、映画館みたいにどこかに縛り付けられて本が読めたら最高なのにな、と思います。電子ペーパー、横書きアプリ、オーディブルなど試行錯誤しつつ、今は紙に戻ったところ。小説『転の声』はNY1泊3日という地獄の出張の機内で電子書籍を読み引きずり込まれました。バンドマンのフェイクドキュメンタリーというか、主人公の以内さんはそのまま尾崎さんだし、声が出づらいって以前も書いていたし。表現すること、それを消費されること、空虚さを感じることに、僕もそうだ、と強く共感しました。「声大丈夫かな」は、いくつかの大事な場面で繰り返されるファンの発言なのですが、最終的に観客から表現者に対する”大肯定”へとつなが …
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