◆兼業モデルの収入が本業の収入を上回って……

「いきなりのヌード写真はリスクで、最初は悩みました。でもポートフォリオを見てみると、骨格やしなやかさが表れた作品が並んでいて、格好いいと感じたんです。ここで表現されているのは『人間』そのものだと感じ、躊躇なく応募しました」
撮影は「相互無償」という条件だったが、承諾の上、山口から東京に飛行機で渡り撮影に臨んだ。最初は一度きりのつもりだったが、完成物を見て「写真が苦手な人間もこんなに綺麗に撮ってもらえるのか」と感動し、モデルの仕事に本格的に関心を持つようになる。
「当時は会社員で、初めモデルは無償でいいと思っていました。ただ撮影された写真をSNSにあげていたら、何人の写真家の方から、有償の撮影依頼をいただいたんです。そこで中国地方を拠点に、依頼に応じて東京や大阪にも遠征する『兼業モデル』として活動を始めるようになりました」
1年9か月ほど続けた結果、モデルの仕事だけで月20~30万円の収入が得られるようになった。本職の事務職で得られていた給与は月15万円前後。この時点で、会社員の倍以上の収入が得られていたことになる。
◆仕事を家族に打ち明けると…
専業としてやっていく決心を固めたのは、とあるカメラマンの言葉がきっかけだった。「日本では、ヌードよりグラビアの方が需要が高い。それで将来的に海外での活動も視野に入れていると話したら、海外仕事も多い知人のカメラマンに『なのにまだ山口にいるの?』と言われてしまったんです。東京にいた方が海外も含めて仕事の幅が広がるよ、と。悔しかったのですが、図星だなと思いました」
上京するタイミングでヌードモデルの仕事について家族に打ち明けたところ、両親からは勘当されてしまったという。
「その時は県内で一人暮らしをしていたのですが、『実家に戻るか、縁を切ってモデルを続けるか』の二択を迫られました。ただ親に打ち明けた時点で、すでにSNSには過去のヌード作品が出回っていた。今やめれば過去の自分を全否定することになると感じ、最終的には縁を切る道を選びました」

