◆甘やかされて育った兄が結婚後、実家へ

裕也さんの悩みの種は、兄の智也さん(仮名・45歳)にある。父を早く亡くし、幼い頃から母親に溺愛されていた智也さんは社会人になっても実家に入り浸ることが多かったという。
「実家は祖父母が残してくれた一軒家です。古い家ですが、きれいに保ちながら住んでいました。しかし、兄のせいで久しぶりに帰った実家は信じられない状態になっていたのです」
その原因は、数年前に結婚した智也さんが妻とともに実家に移り住み、数匹の猫を飼い始めたことだった。
「兄はずっと結婚もせずにフラフラしていたんです。ようやく結婚して、これでマトモになると淡い期待を抱いていたのですが見事に打ち砕かれました。相手の女性が大の猫好きで、一人暮らしでは飼えなかったため、結婚後はどうしても猫を飼いたいと。もともと兄も猫好きだったので快諾したそうです。しかし、問題は住む家でした。都内の賃貸では無理があり、そこで思いついたのが実家だったというわけです」
◆実家を猫に占領されて…

「兄が実家に戻ってしばらくした頃、久しぶりに実家に戻ると、くしゃみが止まりませんでした。僕自身は猫アレルギーではなかったのですが、兄の飼育環境が悪いせいか、猫アレルギーを発症してしまったんです。きれいにしていた家も家具はボロボロ、猫のトイレからは異臭が漂っていました。しまいには裏口から猫が脱走しようとする始末……。とても高齢の母が住める環境とは思えませんでした」
母親は智也さんにうるさいことは言えず、あまり部屋から出なくなってしまっているという。さらに裕也さんがショックを受けたのは、副業で仕入れていた商品が猫の餌食となったことだ。
「本業とは別に服のバイヤーとして副業をしていて、実家の自分の部屋を事務所兼在庫置き場として使っていたんです。しかし、猫のせいで在庫が台無しに……。兄に文句を言っても『もう実家を出たお前が悪い』の一点張り。数十万円分の損失が出て、かなりの赤字を被ることになりました」

