
音楽をやる上で影響を受けた、未来に対する眼差し。
若林さんから「これ好きでしょ」みたいな感じで紹介される本はマジでもれなく面白い(最近は石牟礼道子!)。優秀な編集者とはこういうことができる人なんだと感じます。先日も軽い気持ちで遊びに行って6時間ほど話し込み、薦められた本をその場で注文していたら10冊になりました。本書には雑誌WIREDの編集長としての彼の巻頭言がまとめられ、僕にとっては珍しく何度も読み返す一冊。高度資本主義社会の中で、新しい技術をハンドリングするにあたっては倫理を持ってやる、という、強い所信表明でもある。その未来に対する眼差しや、人間性への信頼感、信頼したいという気持ちに、僕はすごく元気が出ます。音楽をやる上での、エッセンシャルな価値観の部分で影響を受けていると感じます。


tofubeatsSelector
トラックメイカー、音楽プロデューサー、DJ。1990年神戸市出身。中学時代から音楽活動を開始し、2013年メジャーデビュー。著書に『トーフビーツの難聴日記』。’24年、EP「NOBODY」をリリース。
illustration : Shapre text : Azumi Kubota
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