
◆「私はオカルトを信じていないんです」(文野)
──角さんはオカルト系メディア『TOCANA』の元編集長ですが、文野さんも『感受点』や『呪いと性春』(ともに小学館)などで、ホラーや歪な世界を描いています。角由紀子(以下、角):経歴からわかるとおり、私はものすごくオカルトに興味があるんですけど、初めて文野さんと会ったときに「オカルトとかどうですか?」と聞いたら、「私はすごく論理的なタイプなので、あまり信じてはいないです!」とキッパリ言われたのが印象的でした(笑)。

角:でも、それこそ『トムライガール冥衣』の作画担当として信頼できる部分です。オカルトを信じている人って、“信じている人向け”にしか描けない。世の中の多くの人は、「よくわからない」「信じていない」の中間くらいにいると思うんです。だから、信じていない文野の視点で描くことで、オカルトにのめり込んでいない人にも届く作品になるんじゃないかという安心感がありました。
◆対照的な2人が触れてきた“オカルト作品”とは
──オカルトにどっぷりな角さんと、懐疑的な気持ちがある文野さん。対照的な2人はそれぞれどんなオカルト作品に触れてきましたか。文野:マンガだったら中山昌亮さんの『不安の種』(秋田書店)とか。オカルトやホラーって芸術とも相性がいいと思っていて、伊藤潤二さんの『うずまき』(小学館)とかはすごくかっこいい。画面表現なんかで、とても影響をうけました。あとは、『事故物件鑑定士試験』っていう日常浸食型ゲームというのがあって、かなりハマっていました。

文野:『フォビア』私も好きです!いわゆるホラー漫画とは少し離れていて、お化けの怖さだけじゃなくて、虫が気持ち悪いとか、色んなゾワゾワを感じられて面白いですよね。

